文字サイズ
    話題作の著者へのインタビューで、創作の意図、素顔に迫ります。

    『現代感動詞用法辞典』 浅田秀子さん

    日本語、音譜付きで発信

     とにかくユニークな日本語辞典だ。見出し語は「あー(っ)」「うん」「おーい」など、口から発せられる「感動詞」。しかも、一緒に音譜が並んでいる。どうして、このような本を作ったのか。

     きっかけは約30年前、中国の大学で日本語教師をしていた頃に遡る。現地の学生が日本のことをあまりに知らないのに驚いたが、「同時に日本人が、自分たちの文化を対外的に説明、発信する意識に欠けていることも思い知った」。

     中でも発信が難しいと思ったのが修飾語。「女が歩く」を訳すのは比較的容易でも、「あだっぽい女がしゃなりしゃなりと歩く」を外国人に説明するのは大変だ。「辞書を見ても、類義語を並べただけで、定義されていないものも多い。分かった気になっても真の理解をしていないから発信できていない」状態だった。

     そこで形容詞や副詞の辞典などを執筆。日本語教師らに重宝されるようになったが、一連の辞典の完結編として取り組んだのが「感動詞」。ただこれは難問だったという。

     「感動詞」は音の相対的な高低、長短、休符が入る入らないで意味が変わることがある。例えば、「野菜多くね」と書いてあったとしても、「ね」の音が下がれば「もっとほしい」という意味だが、上がれば、若い人がくだけた会話で使う否定疑問で「多すぎる」というニュアンスになる。

     正確に記述するには、どうしたら良いか。趣味と呼ぶには本格的過ぎる、声楽など音楽の経験が役立った。「五線譜ならぬ三線譜を使えば、300年後の人にも伝わる」

     こうして世にも不思議な辞典が誕生した。「日本人なら読めば色々なことがに落ちるはず。理解できれば発信できる。東京五輪もあるので、日本語を再発見し、外にアピールするきっかけにしてほしい」(東京堂出版、4700円)十時武士

    2017年04月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    リンク