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    話題作の著者へのインタビューで、創作の意図、素顔に迫ります。

    『考える障害者』 ホーキング青山さん

    同じ人間、本音で語る

    • ホーキング青山さん
      ホーキング青山さん

     生まれたときから両手両足が使えず、車いすで活動するお笑い芸人の著者が、真面目に障害者論を説いた一冊だ。「障害者の話は奇をてらうか、過度に感動を誘うものが多い。きちんと形にしたかった」

     歯切れ良い口調で話した。

     「みなさんの善意が、実は迷惑と紙一重」「障害を個性で片づけるな」――。

     小学生のころにボランティアの女性に、障害者だからと無闇にかわいがられて困ったことをはじめ、24時間テレビ「愛は地球を救う」に感じることや、相模原市の障害者福祉施設で入所者ら46人が殺傷された「やまゆり園事件」まで。自身の経験も踏まえ、実感のある言葉を述べてゆく。

     「障害があれば、物を取るときなど人の手を借りることになる。個性と割り切れるほど簡単ではない。でも、健常者と本音を単にぶつけ合えば、『お前、アレ取れよ』『面倒くさい』とけんかになる」

     大切なことは「同じ人間」として普通につき合うことだという。「相手に感謝や愛想も示しながら、本音と建前の間で互いにバランスを取って接するしかないと思う」

     1973年、東京都生まれ。10代のときビートたけしさんのラジオに熱中し、お笑いライブに通い始めた。「ほかの障害者と同じなのは嫌だという気持ちがあった」。大川興業の大川豊総裁と知り合い、20歳で芸人としてデビュー。芸名は車いすの物理学者、ホーキング博士にちなむ。最初は登壇すると、拍手どころか「エーッ」と客から声が上がることもあり、苦しかったと振り返る。最近は、落語をはじめライブ中心に活動する。

     「落語には、『与太郎』のような人物が出てくる。彼らは、つまはじきにされていない。話の中の大切な存在として、受けいれられている」

     押しつけがましくない話芸の温かさにひかれる。

     (新潮新書、720円)

     待田晋哉

    2018年02月13日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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