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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・松山巖

    『家具でつくる本の空間』 藤江和子アトリエ著

     家具デザイナーは建築に合った椅子やテーブルなどを配置するのが役目と思うだろう。だが藤江和子の仕事はスケールが大きい。すべて建築家と共同作業だ。

     本書は図書館など人々が本を読むばかりか、リラックスする場を藤江が設計した三十三の作品を写真や図面などで紹介する。それでも彼女の仕事の一端は理解できるだろう。写真は二〇一五年に完成した〈みんなの森 ぎふメディアコスモス〉。建築家伊東豊雄からの「大きな家・小さな家」というアイデアを受け、藤江は大きな家の図書館内部に「小さな家」を幾つか配置しようと考えた。「小さな家」は「グローブ」と呼ぶ天蓋で囲われ、その下で人々が本を読むに相応ふさわしい落ち着いた場を作り出した。無論、椅子や机、本棚や照明も藤江のデザインである。

     それだけに藤江がアトリエを開いた一九七七年以来、四十年近くに作った全作品が知りたくなる。

     彰国社 2400円

    2016年12月26日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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