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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・清水克行(日本史学者・明治大教授)

    『古文書に見る江戸犯罪考』 氏家幹人著

     江戸にはスリ(巾着切)が1万人以上いて、彼らには共通のユニフォームがあった。なんて聞けば、読者の皆さん、誰もが驚くことだろう。

     彼らは同業組合を作っていて、一様に青梅じまの着物に琥珀こはく織の帯、紺色の足袋などを身につけていたのだという。いや、一目見てスリとわかったのでは「商売」にならないじゃないか。といったご懸念は一切ご無用。

     当時のスリは地域住民の金品は狙わず、それと知らない“おのぼりさん”を標的にしていたらしいのだ。また、彼ら全員を収監できる牢獄ろうごくがあるわけもないので、当然、役人もこれを野放し。むしろユニフォームは同業者の識別に不可欠だったようだ。

     盗品がどうしても必要な物だったなら、被害者は町の髪結床に頼めば、そこの主人を窓口にして返還してもらうこともできた。スリは地域社会と「共存」していたのだ。

     時代劇では決して描かれない、こんな江戸の町の仰天犯罪事情が本書には他にもあふれている。現代人の常識を揺るがす史実を掘り起こすことにかけては定評ある著者の技量が、本書でもえわたっている。

     祥伝社新書 840円

    2016年12月26日 05時22分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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