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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・稲泉連

    『ミステリーな仏像』 本田不二雄著

     ヘッドフォンを頭に付け、音楽を聴きながらピースサインを送っている(ように見える)仏像の表紙に、まずは目を奪われた。導かれるままに本を開けば、次々に登場するのは異形の像の数々だ。

     全国の不思議な仏像のもとに通い、取材を続ける著者は自らを「神仏探偵」と呼ぶ。

     螺髪らほつが大きすぎたり、体内に骨格と五臓を備えたりしている阿弥陀像、肋骨ろっこつの浮いた痩せ仏……。

     その由来を調査する著者は、資料に当たり、それぞれの土地で話を聞き取り、ときには途方に暮れる。

     仏像の姿や表情をじっと見つめ、「なぜこのような像であらねばならなかったか」とそこに込められた人々の祈りの意味を想像する様子に、取材者としての真摯しんしさを感じた。そうして描き出されるのは、日本人の信仰文化の奥深さ。仏像の世界とは、いや、仏を造形する人間の表現とはこれほどまでに多様なのか、という興味も尽きない。

     駒草出版 1500円

    2017年03月20日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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