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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・塚谷裕一(植物学者・東京大教授)

    『クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説』 堀川大樹著

     乾かしても平気、凍らせても大丈夫、放射線に当てても死なないという、驚異的な能力で人気の、クマムシの本だ。

     イラストが豊富、文章も人を食った感じでやわらかい。新学期を機に、クマムシを実際に見て、育ててみたいという子どもたちにうってつけの読み物だ。クマムシこそどの動物よりもすごい、最強だというその論拠にしても、科学的な比較に見せかけてその実、著者の主観(「かわいい」)で最後に全てねじ伏せられる。要はとにかくクマムシが好きなのだ。

     そのくせ、研究の苦労もポイントがきちんと記されている。世話をするだけで何時間も費やさねばならず、ついに研究継続を諦めたいきさつ、新しく別の材料を見つけ、その好適なえさに運良くたどりついた経緯。プロの研究者なら誰もが共感するだろう。

     昨今、クマムシの知名度はずいぶん高くなったが、実際に目にした人はまだ多くない。本書を片手に路傍でコケをあさる子どもを見たとしたら、それはクマムシ捕獲を目指しているのだろう。温かく見守って欲しい。

     日経ナショナルジオグラフィック社 1400円

    2017年04月17日 05時21分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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