<速報> 山中破ったネリ、薬物陽性反応…WBC公表
    文字サイズ
    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・長島有里枝(写真家)

    『自己責任社会の歩き方』 雨宮処凛著

     増加する生活保護や過労死、ホームレス、非正規雇用などが「社会問題」ではなく、個人の怠惰や不器用さに起因する「自己責任」だと言い換えられ、過酷な状況に陥って苦しむ人に「もっと大変な人」の例を持ち出して、問題を矮小わいしょう化する……。本書ではこのような場を「自己責任社会」と呼んでいる。

     「私たちは(略)『生産性があるか否か』によって命そのものを値踏みされて」いると著者はいう。子育てを通じて、同じような実感をわたしも持った。社会問題を真っ向から取り上げながらも難しくないのは、紹介される実践が痛快だからだろう。「弱者」か「けなげに頑張る」人、どちらかの役割を押し付けられてきた障害者が「ただ生きる」権利を主張するライブ。世界各地から百数十人が高円寺に集結して開催された一週間の飲み会など、機会があったら参加してみたい。ともすればやる気がない、能力がない、我慢が足りないなどと言われ、自分を責めがちな立場の人々が、声を上げる。それぞれの実践は草の根的だが、社会を動かしもすることを知れば、状況は変わっていくのではないか。

     七つ森書館 1500円

    2017年05月15日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    リンク