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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・青山七恵(作家)

    『リラとわたし ナポリの物語1』 エレナ・フェッランテ著 

     ナポリを舞台にした、二人の女性の六十年近くに渡る複雑な友情の物語。全四巻の大長編だが、五十カ国で刊行が決定した世界的ベストセラーになっているそうだ。本書はその一巻目、語り手のエレナと親友リラの幼年期の出会いから、多感な思春期の日々が描かれる。

     真面目でやや内気なエレナと、「あの恐ろしくも輝かしい女の子」――誰よりも聡明で勇猛なリラ。貧しい地区で生まれ育った二人は競い合うように勉強に精を出し、将来は本を共作してお金持ちになろうと夢見るが、家庭の事情から別の道を歩むことになる。長年の親友がいる(いた)読者なら、きっと二人が不器用に交換する甘やかさと苦さが入り混じったややこしい感情に覚えがあり、チクチクと胸を刺されながらも豊穣ほうじょうな関係性の世界に没入せずにはいられないだろう。かくいう私もすっかりこの二人組に入れこんでしまい、一巻のラスト数行で描かれるさりげなくショッキングな光景には思わず言葉を失った。ああリラ、どうなってしまうんだろう。二巻目の刊行が物すごく待ち遠しい。飯田亮介訳。(早川書房、2100円)

    2017年09月11日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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