<速報> リニア不正受注、鹿島と清水建設を捜索…東京地検特捜部など
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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・安藤宏(国文学者・東京大教授)

    『『写真週報』とその時代 上・下』 玉井清編著

     「写真週報」(昭和一三~二〇年)は第二次大戦下の総力戦体制を支えた政府広報誌。豊富な写真の数々は臨場感あふれる時代の証言だ。ここから戦後活躍する多くの写真家たちが育っていった事実はあまり知られていない。

     戦意を鼓舞するこの手の“御用”雑誌を読み解くポイントは二つある。一つは報道の「建前」の背後に大衆の「本音」が透けて見えてくる面白さ。贅沢ぜいたくをいましめ、節約を奨励する文言の数々からは、逆に庶民の不満やひそかな願望が浮上してくる。「勤労女性」奨励のために米国の「働く女性」が紹介されるなど、紙面には意外な側面もある。ヒトラーがほとんど登場しないのも驚きだ。ドイツ軍の強さを日本軍と比べられるのを嫌っている形跡もある。

     二つ目のポイントは、広報の「戦略」を読み解く面白さ。戦力の不足を物資の補給を担う銃後の国民のせいにするなど、そこには独特の責任転嫁の論理が働いている。大衆煽動せんどうがどのように発動していくか、というメカニズムは、実はひとごとではない、すぐれて今日的な問題でもある。(慶応義塾大学出版会、上下各3400円)

    2017年10月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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