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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・長島有里枝(写真家)

    『いかさまお菓子の本』 クリスティン・マッコーネル著

    • ブライドジラ・ケーキ
      ブライドジラ・ケーキ

     食事の支度とお菓子作りは似て非なるものだ。お菓子作りには、命をつながねばならないという切迫感が伴わない。つまり、それは労働というより、創作活動なのだ。本書をパラパラとめくれば、きっと驚くはずだ。そこにあるお菓子がホラー映画やSF映画から飛び出してきたみたいだから、というだけじゃなく、作者の豊かな創造性と、まさかのテクニックと、強烈な個性に、古びた固定観念が覆されるからだ。

     お菓子は甘くて可愛かわいくて、まるで女の子そのものだと思われているし、家でのお菓子作りも「女のお遊び」として低く見られがちだ。そんなつまらない思い込みに、タランチュラクッキーやゴジラケーキは「NO」を突きつける。レシピには、著者から世の女性たちへの励ましのメッセージも添えられている。憂鬱ゆううつな日に眺めるだけでも、元気になれる一冊だ。野中モモ訳。

     国書刊行会 3600円

    2017年12月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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