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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・戌井昭人(作家)

    『人生ごっこを楽しみなヨ』 毒蝮三太夫著

     小学生のころ、近所のスーパーマーケットでラジオの生中継があって、毒蝮三太夫どくまむしさんだゆうがやってきた。わたしは友達とそこに行き、放送中に騒いでいたら、「おいおい、うるせいガキだな」と言われた。でもわたしたちは、相手にしてくれたことを喜んでいた。さらにサインまでもらった。このサインが、わたしが芸能人からもらった、はじめてのサインだった。

     ラジオは「ミュージックプレゼント」という番組で、現在も放送中だ。一九六九年に放送開始なので、五十年近くも続いているのだから驚きだ。

     さらに毒蝮三太夫は、ずっと昔から、「おいババア、このくたばり損ない」などの毒舌を吐きまくっている。しかし相変わらず庶民からは愛されているのだった。

     この本は、そんな毒蝮流の人生指南本で、みんなもっと気楽にやりなよ、と語りかけてくるようだ。

     毒蝮三太夫は、昨年亡くなった日野原重明の言葉に、としを取ることの深みを知った。さらに親交の深かった立川談志のことを分析し、自分と比べたりもしているのも面白い。

     角川新書 840円

    2018年02月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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