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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・宮部みゆき(作家)

    『オーパーツ 死を招く至宝』 蒼井碧著

     不可解な謎と鮮やかな解決。その二つを結びつける論理のアクロバット。ここに謎のもととなる題材の面白さが加わって、上質の知的娯楽ミステリーになる。第十六回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作である本書もそんな一冊で、多くの読者に一夕の楽しみを提供するだろう。タイトルのオーパーツとは、「その時代の技術や知識では作り得ぬ古代の工芸品」の総称で、四へんの連作中編に登場するのは水晶髑髏どくろ、プレ・インカ文明が生んだ黄金シャトル、ヒトと恐竜が共存していたことを示す恐竜土偶に、謎めいた巨石遺構。どれも興味深くて胡散うさん臭くて楽しい。主人公の大学生・鳳水月おおとりすいげつと、オーパーツ鑑定士を自称する探偵役の古城深夜こじょうしんやが双子でもないのにうり二つだという設定は突飛とっぴだけれど、ちゃんとお話のなかでかされており、ドタバタしながら四つの謎を解決してバディが誕生する。シリーズ化に期待大。

     著者は『このミス大賞』では最年少の受賞者。昨年の鮎川哲也賞受賞作『屍人荘しじんそうの殺人』の今村昌弘と並ぶ、本格ミステリー界注目のニューフェイスだ。

     宝島社 1380円

    2018年02月19日 05時21分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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