<速報> レアル・マドリードが3連覇…欧州CL
    文字サイズ
    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・土方正志(出版社「荒蝦夷」代表)

    『フクシマ2011―2017』 土田ヒロミ著

     美しい風景がページを埋める。東北の、福島の地の春夏秋冬、山野が芽吹いて、やがて青々と盛りを迎えて紅葉する。水の流れも豊かに、雪が降ればまるで山水画の世界である。家がある、町がある。田園風景がある。人はいない。いや、たまにはいる、防護服や作業服を着ている、マスクをしている。黒々とフレコンバッグが写り込む。どんどん増える。空間線量計やソーラーパネルも見える。にしても、風景は自然は、ただ美しくあくまで静かにそこにある。失われた日常を思えば、切なさ悔しさがつのる。

     この写真たちと、この風景と自然と向き合い、対話してほしい。あなたにはなにが見えるか。なにが聴こえるか。静けさの陰に、切なくあふれる言葉を聴き取っていただければ。『ヒロシマ』や『俗神』のベテラン写真家が原発被災地を撮り続けたその記録に、福島第一原発そのものの写真はない。

     みすず書房 1万2000円

    2018年03月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    リンク