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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・森健(ジャーナリスト)

    『日本のグラフィック100年』 山形季央編集・著

     紺碧こんぺきの海原にただ二人だけが浮かぶ資生堂のポスター(1967年)。拡大したうばの能面の写真に金色の字で能楽師の名が連なる産経観世能のポスター(65年)。大胆な構図に印象的な色遣いでハッとする力がある。

     明治期に商業デザイナーが登場してほぼ100年。本書は日本のグラフィックデザインを振り返った。ポスター、広告、雑誌の編集、製品や店舗などの四つに分類、数百点をそろえた。丁寧な構成から見えてくるのは高度成長期やバブルなど時代ごとの風景であり、同時に時代に流されない本質的な美しさでもある。

     能や俳句のように極限まで要素をぎ落とし、ある断面に視点を絞ることでメッセージを伝える。よいデザインには共通してそんな強さがあるのが伝わってくる。本書のつくり自体、明確かつ流麗で素晴らしい。(パイインターナショナル、3900円)

    2018年04月23日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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