文字サイズ
    イギリスの食や酒、文化や歴史に魅せられた人のインタビュー、イベントやニュースをお届けします。
    イベント

    スコットランドの海の味…驚きのサーモンデザート

    • 英国大使館のエグゼクティブシェフ、ウォルター氏(Photo By Jun Takagi)
      英国大使館のエグゼクティブシェフ、ウォルター氏(Photo By Jun Takagi)

     スコットランドのシーフードを楽しむ晩餐(ばんさん)会が18日、駐日英国大使館で開かれ、エグゼクティブシェフのフレデリック・ウォルター氏(53)がスコットランドの自然をイメージした料理を招待客に披露した。サーモンやホタテ、サバ、ロブスターといった海の恵みに、果実や花、葉を添えて豊かな彩りを生み出し、日本食材のタマゴタケを使うなど、組み合わせの妙が際立った。

     水温の低い、澄んだ海域に囲まれたスコットランドは漁業が盛ん。60種類を超す海産物が水揚げされ、ウイスキーにつぐ輸出品目となっている。なかでも世界3位の水揚げ量を誇るスコットランド産サーモンは引き締まった身と豊かな風味で知られ、フランス以外の産品として、初めてフランス農業省の品質マーク「ラベルルージュ」を受けた。

    • スモーク・サーモンを使ったカナッペ
      スモーク・サーモンを使ったカナッペ
    • ハドックの白身がシソの上で花の形に盛り付けられた1皿目
      ハドックの白身がシソの上で花の形に盛り付けられた1皿目
    • 2皿目は小ぶりのサバがメーンの素材(Photo By Jun Takagi)
      2皿目は小ぶりのサバがメーンの素材(Photo By Jun Takagi)

     食事前のカナッペでは、レンコンのチップの上に、シソを添えてサーモンが供された。銀の食器に載ったサーモンにはマヨネーズが添えられ、大使公邸内のブルーの照明を受け、妖しくピンクに輝いていた。他の産地のサーモンに比べて脂分が少ないといわれるが、肉厚でボリュームがある。

     コースの1皿目は、トロピカルフルーツを使ったソースに、スモークしたホタテとハドック(コダラ)。黄色のソースと、緑の海草や葉、そして貝と白身。優しい色合いのコンビネーションと、ユーモラスな形のシーアスパラガスは、野原を連想させた。

     続く2皿目は、敷き詰めたセイヨウスグリの実の上にカリッと揚げたサバ。小ぶりで、味が詰まっている。「スコットランドの魚は臭みが少ない」といわれる通り、生臭さはない。3皿目は、ローストしたロブスターにネクタリンとタマゴタケのコンビネーション。ロブスターの歯ごたえを、軟らかなネクタリンと長野産タマゴタケの身がひきたてる。「日本食材を使うのは、日本への敬意を表わし、新たな食材としてイギリスの食材とフュージョン(融合)させるため」とウォルター氏。

    • 3皿目のローストしたロブスターは歯ごたえ十分(Photo By Jun Takagi)
      3皿目のローストしたロブスターは歯ごたえ十分(Photo By Jun Takagi)
    • 4皿目はアンコウとアカザエビの天ぷらに、小さなキュウリが添えられた
      4皿目はアンコウとアカザエビの天ぷらに、小さなキュウリが添えられた
    • サーモンのデザートはサプライズの逸品
      サーモンのデザートはサプライズの逸品

     4皿目は、海草に載ったアンコウに、ラングスティーヌ(アカザエビ)の天ぷら添え。小指ほどの小さなキュウリが盛り付けられていた。

     特産のサーモンは最後のデザートでも登場した。砂糖でくるまれた赤身の隣に、カボスのシャーベットと、カラフルな食用花が添えられた。一見すると和食の刺し身のよう。甘い膜に包まれたサーモンの味は、食感こそまぎれもなくサーモンだが、すぐにそれとはわからない。口に含んで噛むうちに、封じ込められた(うま)みが徐々に染み出してくる。デザートのイメージを変えてしまうほどのインパクトで、この日一番のサプライズだった。

     「サーモンを使ったデザートはチャレンジ。アイスクリームも試してみたが、まだ、みなさんに出せる段階にはない」とウォルター氏は試行錯誤を重ねている様子だ。

     ウォルター氏はデンマーク出身。デンマーク大使館やスウェーデン大使館のシェフをへて、今年春から英国大使館の厨房(ちゅうぼう)を仕切るエグゼクティブシェフとなった。長らく評判のよくなかったイギリス料理は、若手料理人が注目を集めるようになった2000年頃を境に劇的に質が上がったといわれ、いまロンドンでは別の国の食材やレシピをミックスさせた「フュージョン」や、自国産の食材にこだわった新・英国料理が注目を集めている。ウォルター氏は、「私に期待されているのは、イギリス料理を国際的なものにすること。海産物を大事にしてきた伝統を守り、バランスを考えながら国際的な料理に進化させたい」と抱負を話した。

    • 大使公邸で開かれた晩餐会(Photo By Jun Takagi)
      大使公邸で開かれた晩餐会(Photo By Jun Takagi)

    (メディア局編集部 小坂剛)

    連載「酒都を歩く」(英国編)(ぶりてん数寄)が本になりました。

    • 『酒場天国イギリス』(中央公論新社)
      『酒場天国イギリス』(中央公論新社)


    ◆日本の居酒屋を舞台にした過去の連載企画「酒都を歩く」をまとめた『あの人と、「酒都」放浪 ― 日本一ぜいたくな酒場めぐり』(中央公論新社)はこちらから

    2015年08月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    PR情報
    大手町モール
    ブランディア
    アーカイブ