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    30代、40代女性の恋の悩みに、恋愛・結婚・人間関係コンサルタントの木村隆志さんがアドバイス。

    6年交際して別れるのは罪? 男女で異なる年齢の感覚

    僕と結婚しても彼女は幸せになれない

     長年、相談を受け続けていると、ときどき不思議なことが起きます。ちょうど1年前の今ごろ、あるカップルから立て続けに問い合わせのメールが送られてきました。

     相談内容は、雅之さん(仮名、34歳)が「6年間交際した恋人と別れられるか?」、宏美さん(仮名、32歳)が「恋人が別れを考えている気がする。本当なら許せない」というものでした。2人はどんなことを考え、どんな道を選べば、幸せになれるのでしょうか。

     まず雅之さんの相談を受けることになりました。

     雅之さん「宏美とは合コンで知り合って、何度か会っている中でいつの間にか付き合っていました。お互いマイペースな性格なので、月に2、3回会うくらいのペースで、もう6年くらい過ごしています。宏美のことは人間的に好きですが、恋人という感じはあまりなくて、ずっと妹のような感覚で接してきました」

     木村「だから宏美さんとの結婚は考えられなくて別れたい、ということですか?」

     雅之さん「実は飲み友達のある女性(30歳)を好きになり始めています。彼女とは何度かグループでお酒を飲んだだけの関係ですが、最近は『宏美と別れたほうがいいな』とばかり考えてしまって……。でも、『アラサーの女性と6年も付き合って別れたら、罪が重いんじゃないか』と思ってしまうところもあります」

     木村「宏美さんと結婚について話したことはないのでしょうか?」

     雅之さん「そういう話は僕が避けようとしていたので、まともに話したことはありません。でも、宏美の女友達からは何度か『いつ結婚するの?』と()かされています。だから『宏美もそれを望んでいるのかもしれないな』と思うんですよね」

     木村「雅之さんの望みは何なのでしょうか? 今の気持ちを正直に教えてください」

     雅之さん「望みというよりも、どうしたらいいのか迷っています。宏美にうらまれてでも、今の気持ちを話して別れたほうがいいのか。それとも、宏美のために今の気持ちを抑えて結婚したほうがいいのか。どうしたらお互いにとっていい決断になるのか分からないんです」

     木村「(首をかしげながら)雅之さんは『自分にとって』ではなく、『お互いにとって』のいい決断を考えているんですか?」

     雅之さん「『僕みたいな男と結婚しても宏美は幸せになれないだろう』とか、『宏美と別れたら、けっきょく1人になって後悔するだけではないか』とか、いろいろ考えてしまうんですよ。僕はどうしたらいいのでしょうか……」

    自ら決断しなければ、いつか後悔する

     木村「交際6年ということは、宏美さんが27歳から32歳の間にお付き合いしてきたということですよね。雅之さんは『お互いマイペースな性格』とおっしゃっていましたが、もともと年齢の捉え方は男女で大きく異なりますし、結婚に敏感なアラサーの女性はなおさらです。『自分の人生を左右する時期』という感覚があるだけに、雅之さんには誠意ある対応が求められます」

     雅之さん「(やや動揺しながら)誠意ある対応って……『やっぱり6年も付き合ったからには結婚すべき』ということですか?」

     木村「(きっぱりと)そういうことではありません。これからどんな決断を下すとしても、覚悟を持って宏美さんと接してほしいですし、今からでも遅くないので、もっと向き合うべきでしょう。今の雅之さんは、宏美さんの長所も本当の気持ちも分かっていませんし、何より宏美さんへの優しさや感謝が感じられません。『丁寧な言葉を使って彼女を気づかおうとしていますが、実際は自分のことしか考えていない』という自覚はありませんか?」

     雅之さん「(力なく淡々と)そうかもしれませんね。そんな人間だから、6年間もダラダラと付き合ってきてしまったのだと思います」

     木村「まずは『宏美さんともう一度向き合おう』と覚悟を決めて、出会ったころから今日までの日々を一つ一つじっくり見つめ直すこと。自分の先入観や思い込みを捨てて、宏美さんの言動や2人の思い出を振り返ってみてください。次に、同じく『向き合おう』と覚悟を決めた状態で、現在の宏美さんと会話を重ねること。もしこの二つをせず、感覚だけで別れてしまうと、近い将来の後悔につながりかねないので注意しましょう」

     雅之さん「新たに好きになった女性のことはどう考えたらいいでしょうか?」

     木村「彼女のことも、先入観や思い込みを捨てて、『彼女のことをどれだけ知っているのか』『どこがどう好きなのか』『将来は考えられるのか』などを考えてみてください。ただ、いずれにしても『あまり知らないからこそ、好きと勘違いしている』ところが大きく、それは好印象というだけで、決して愛情ではありません。それに、これまでの経緯を踏まえると、恋愛・結婚について雅之さんは、自分の感覚を信じ過ぎないほうがいいでしょう」

     雅之さん「どういうことですか?」

     木村「自分の感覚に従って進めてきたこれまでの恋愛がうまくいかなかったのだから、それを信じないほうがいいということです。たとえば、宏美さんと6年間ずっと一緒にいられたのはなぜでしょうか? 新たに出会った女性の外見にだけは敏感で、宏美さんの気づかいや居心地のよさなどに鈍感すぎるのではないでしょうか?」

     雅之さん「(反省しながら)そう言われると返す言葉がありませんね……」

     木村「本当に宏美さんとは幸せな未来の姿がイメージできないのか? 逆に宏美さんと別れて後悔する可能性はないのか? もっともっと突き詰めて考えましょう」

     雅之さん「『けっきょく決めるのは自分しかいない』ということですね」

     木村「(大きくうなずきながら)自分で決めなければ、どちらを選んでも後悔する可能性が高くなるということです。もし別れを選ぶとしたら、宏美さんが納得できるまで、とことん話を聞いてあげてください。宏美さんの悲しみと怒りを受け止めることでしか、2人はお互いに前へ進むことはできないでしょう。別れるとしても逃げるのではなく、相手に誠意を見せなければ、その先の幸せは見えないですから」

     雅之さん「(自分に言い聞かせるように)責められるのが分かっていても、逃げてはいけませんよね」

     木村「宏美さんに責めさせてあげること。雅之さんは言葉で謝りながら、心の中で宏美さんの幸せを祈ることで、多少は彼女の気持ちも晴れるでしょう」

    ――自分の身勝手さにようやく気づき始めた雅之さん。彼は今後どんな決断を下すのでしょうか? しかし、この3日後、私のもとに宏美さんからの問い合わせが届いたのです。

    2017年06月12日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    木村 隆志   (きむら・たかし
    コンサルタント/コラムニスト。ティーンから中高年世代まで、幅広い年齢層の相談を受け続け、コンサル数は対面だけで通算2万組超。また、各メディアに毎月20本強のコラムを寄稿している。最新刊は『独身40男の歩き方』(CCCメディアハウス)。その他の著書に『40歳からはじめる 一生の恋人の見つけ方』(同文館出版)、『話しかけなくていい! 会話術』(CCCメディアハウス)、『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)、『好感度がアップする プラスひと言会話表現605』(こう書房)、『友活はじめませんか? 30代からの友人作り』(遊タイム出版)などがある。
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