文字サイズ
    住まいに関する特集コーナーです。

    絵はレンタル 「所有せずに自己表現」

     部屋に飾る絵や有名ブランドの服などを借りる、新たなレンタルサービスが人気だ。

     利用者の中心は若者。「仕事や子育てに追われてじっくり買い物をする余裕がない」といった事情や、「物を所有しなくても自分を表現できる」という考えの広がりが背景にあるようだ。

     リビングの壁に掛けられた1枚の絵。落ち着いた色調の風景の中で鹿が寝そべり、幻想的な雰囲気が漂う。ソファに座ってゆっくり眺める時間が、東京都の会社員、田尻瞳さん(37)のお気に入りだ。

     田尻さんは「renTarT(レンタルト)」というサービスを使って、この絵を借りた。利用は2作品目。「気分や季節によって絵を替えられるのがいい」と話す。

     レンタルトは、保管業の寺田倉庫(東京)が昨年9月に始めた。置き場所が足りない画家らから絵画を預かり、専用サイトで水彩、油彩含め計約2000点を紹介。利用希望者はその中から好きな絵を探す。レンタル料は1点につき月1500円(税抜き)か2000円(同)で、期間は3~12か月。

     広報の阿部亜祐未さんは、「買うのは敷居が高いと感じる人も、レンタルなら気軽」と話す。画家側もレンタル中は保管料を払わずに済む上、借りた人に気に入られて絵を買ってもらえる場合もある。

     服のレンタルも広がる。ノイエジーク(東京)が2月に始めた「airCloset(エアークローゼット)」は、月6800円(税抜き)で服が借り放題となる。

     利用者が事前に登録した好みのスタイルを踏まえ、スタイリストが選んだトップスやパンツ、スカートなど3点が利用者宅に届く。クリーニング不要で、利用後にそのまま送り返すと、数日後に別の服が届く。自分のペースで次々、新しい服に替えられる。

     オフィスで着られるような服が中心で、数十の有名ブランドの品を用意。買うと1万5000~2万円のものが多く、買い取りもできる。「仕事や子育てで服を買う時間がない」という30歳前後の忙しい女性がメインターゲットだ。

     ネクタイやポケットチーフなど、主にビジネス向け男性用小物のレンタルを昨年10月に始めたのは、「FreshNeck(フレッシュネック)」。約80のブランドから買い付けた小物を、取り扱うブランドにより、月3800円(税込み)か5900円(同)で貸し出す。サイト上で利用者が選んだ中から3点が送られ、返送すると別の3点がまた送られてくる。

     運営会社の「FreshNeck Japan」(東京)は、「いつも同じネクタイは着けにくいという営業職の人などの利用が多い」と話す。

     作家で経済ジャーナリストの渋谷和宏さんは、こうしたサービスが登場した背景に、消費者意識の変化があると見る。「これまで『所有』は自己表現の手段だったが、今は若者を中心に『所有しなくても借りれば表現できる。レンタルなら好みに応じて服などを簡単に替えられ、生活スタイルを変化させやすい』と考える人が増えてきた」と話す。

     企業側も、在庫の有効活用策などからレンタルサービスに注目しているとし、「こうしたトレンドは今後も続くだろう」と指摘している。(荒谷康平)

    2015年05月20日 08時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄