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    住まいに関する特集コーナーです。

    「地中熱」で省エネ空調

    夏も冬も 外気温との差利用

     地中に通したパイプに空気を循環させるなどして、住宅の空調に利用する例が増えている。

     深さ5~100メートルほどの地中の温度はその地域の年間平均気温に近く、夏は外気よりも低く、冬は高い。こうした地中の環境を使うことは「地中熱利用」と呼ばれ、省エネにもつながる。

     蒸し暑い6月中旬、埼玉県上尾市の自営業、秋山明宏さん(42)の木造2階建て住宅に入ると、ひんやりして心地よかった。玄関や1階の居間などの床面に吹き出し口が5か所あり、地中からの涼しい空気が出ているからだ。

     秋山さんは昨年4月、地元の住宅会社、ムサシノ建設に自宅の新築を頼み、地中熱利用の空調システムを取り入れた=イラスト=。家の下の地中に深さ5メートルまで直径25センチ程度の穴を掘り、屋外と地中、床下をパイプでつなぐ。地中の温度は1年を通じて変わらず、この辺りでは16~18度前後だ。ファンでパイプに取り込まれた外気が地中を通り、蓄熱層を経て屋内に送られる。「夏は涼しく、冬は暖かく感じる。エアコンを使う時間が減った」と秋山さん。

     このシステムは、住宅会社ジオパワーシステム(山口)が開発。青森から沖縄までの住宅会社約100社と提携して提供している。250万~300万円程度かかるが、冷暖房費が半分から3分の1程度になるという。リフォームで採用することもできる。同社関東本部の山下慎司さんは「季節の変わり目でも室内の温度変化が小さく、昼夜の寒暖差も少なくなり、体調の管理がしやすい」と話す。

     地中熱利用は、天候や季節、昼夜を問わない。欧米では早くから普及し、国内でも環境意識の高まりから増えている。地中熱利用促進協会(東京)によると、住宅での利用はここ5年ほど、毎年2割程度増え、2013年末現在、計約3000戸で取り入れられている。公共施設や大型商業施設での導入例も多い。

     地中熱利用のエアコンもある。室内と地中をつなぐパイプで不凍液を循環させ、夏は室内の熱を涼しい地中へ放出して冷房し、冬は暖かい地中から熱を取り込んで暖房する。通常のエアコンに比べて運転効率が良く、省エネにつながるという。室外機から屋外に熱風も出ない。

     LIXIL住宅研究所(東京)の高気密高断熱住宅のブランド「フィアスホーム」では、地中熱利用のエアコンを導入できる。地下100メートルまでパイプを通してエアコン2台を動かす場合、冷暖房費は3分の1程度になるという。導入費は約250万円。同社では「外気に放熱しないため、夏のヒートアイランド現象の緩和にも貢献できる」とする。

     冷暖房機器メーカー、サンポット(岩手)も地中熱利用のエアコンを製造しており、各地の住宅会社を通じて設置できる。

     導入の補助金を出している自治体もあり、確かめたい。兵庫県たつの市は、導入費の10分の1(上限20万円)を補助。さいたま市では、地中熱利用のエアコンを設置する場合、30万円を補助する。

     ただ、敷地の条件や地盤の状況によっては採用できなかったり、費用がさらに高くなったりする場合もある。リフォームで導入する際には、住宅の断熱性を高める工事もしないと、省エネ効果が低くなるという。

    2015年07月06日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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