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    住まいに関する特集コーナーです。

    都市住民が地方の「第二町民」

    “里帰り”イベントで交流…新たな活性化策

     都市住民に、地方の町を第二のふるさとにしてもらおうという取り組みが広がっている。一般的な観光と違い、里帰りのような親近感を持てるのが特徴で、「第二町民」と名付けて事業を進める事例もある。都市住民との交流によって、地域活性化の新たなアイデアを生み出すことも期待されている。

     先月11日、長野県小布施おぶせ町の町立栗ガ丘小学校で町民運動会が開かれた。約4000人が参加し、自治会対抗で綱引きや玉入れなどで汗を流した。その中に、約30人からなる「第二町民チーム」の姿があった。東京都渋谷区の会社員、中村杏奈さん(25)は「自分も町民の一人なんだという一体感を味わえた」と話す。

     同町の若手事業者らで作る一般社団法人「日本小布施委員会」が今年2月から始めた「おぶせ第二町民制度」。町づくりについて説明を受けたり、名産の栗菓子工場やブドウ農園などで地元の人たちと交流したりするツアーに参加すると「第二町民認定証」が手渡される。費用は、初参加が5000円程度、2回目以降は3000円程度だ。現在96人が認定を受けている。

     再訪しやすいように、月末に町が運行する東京・新宿との無料直通バスに乗れたり、町内の温泉施設を100円引きで利用できたりする特典もある。仲良くなった地元の人の家に泊まるケースもあり、第二町民だからこそできる体験が好評だ。同町で地域活性化について研究し、ツアーを主導する慶応大研究員、大宮透さん(27)は「都会の人たちと交流することで、刺激を受けたり新しいアイデアをもらったりすることもある。結果として第二町民の中から移住してくれる人が現れればありがたい」と語る。

     中村さんは2月の初回ツアーで訪れた寺の副住職、林映寿えいじゅさんと親しくなり、今では「お帰り」「ただいま」とあいさつを交わす間柄。「東京出身の私にとって小布施は第二のふるさと」と話す。

     熊本県の黒川温泉(南小国町)も第二町民を軸にした活性化に取り組む。きっかけは、2013年1月に東京・渋谷で、翌月に福岡市で開いた、旅館経営者らと都市住民との交流会。「旅館組合青年部の法被を着て、花見イベントの裏方をする」「イベント後、地元の人の自宅に集まって『宅飲み』をする」といった案が挙がった。

     その年の春に開かれたイベントでは、東京や福岡から参加した人が、裏方のまかない用にイノシシ肉をさばく作業を手伝ったり、おにぎりを作ったりした。「宅飲み」も地元の人との距離が縮まると好評だった。

     同温泉の観光旅館協同組合代表理事で、NPO法人南小国まちづくり研究会「みなりんく」代表理事の北里有紀さん(38)は「地域を元気にしたいという思いに共感してくれる都会の人たちの存在は心強い」と話す。

     その後も、第二町民として訪れた人のアイデアがきっかけとなり、荒れた山林の間伐材を活用して家具を作る話も持ち上がっているという。

     これらの取り組みは、人口減が進む中、移住してもらうのはハードルが高いが「ファン」にならなってもらえるという発想だ。地方活性化に詳しい首都大学東京准教授の山下祐介さん(社会学)は「第二のふるさとを求める都会の人は多く、有効な手段だ。同時に、一度故郷を離れた人たちに協力してもらう仕組みも大切ではないか」と話している。(住友堅一)

    2015年11月28日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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