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    「障害あるからこそ」個性輝く演劇集団

     障害があるからこその輝きを舞台で表現したい--。振付師・(かお)()()さん(59)が主宰する演劇集団「あぴラッキー」は団員の多くが障害者。2月12日に東京・赤坂で行われる公演に向けて、日々稽古に汗を流している。(社会部 石橋武治)

    役も振り付けも団員創作

    • バリアフリーワークショップを行う香瑠鼓さん(左)
      バリアフリーワークショップを行う香瑠鼓さん(左)

     東京都世田谷区の下北沢駅近くにある練習スタジオ。香瑠鼓さんが主宰しているワークショップで、あぴラッキーのメンバーが振り付けの猛練習をしている。

     演目は「踊る!ホラ~レストラン」。役も振り付けもメンバー同士で考えた創作劇だ。アラブのお姫様やマフィアのボス、怪しげな占い師などの客が、ダンサー演じるレストランスタッフと(にぎ)やかな宴会を楽しむという内容。

     彼らを指導しながら、「独創的で、普通じゃ考えつかない動きだらけでしょ」と話す香瑠鼓さん。「だから、彼らと20年やってきて、これからも一生続けていきたいと思うんです」

    • 「あぴラッキー」のメンバー
      「あぴラッキー」のメンバー
    • ワークショップで体を動かすメンバー
      ワークショップで体を動かすメンバー
    • 障害を持つ幅広い年代の人が集まり練習している
      障害を持つ幅広い年代の人が集まり練習している
    • 呼吸法を指導する香瑠鼓さん(左)
      呼吸法を指導する香瑠鼓さん(左)
    • 独特の存在感で舞台に立つ篠塚俊介さん
      独特の存在感で舞台に立つ篠塚俊介さん
    • 篠塚さんのメイクは母親が担当。着替えなどもサポートする。
      篠塚さんのメイクは母親が担当。着替えなどもサポートする。
    • 舞台で一緒に踊る香瑠鼓さん(左)
      舞台で一緒に踊る香瑠鼓さん(左)

     香瑠鼓さんは新垣結衣さんが出演したグリコ「ポッキー」やタケモトピアノなどのCMを手がけた、業界随一のヒットメーカーとして知られる振付師。ダイナミックで奇抜、それでいて演者の個性を引き出す振りが評価され、現在も一線で活躍している。

    即興の面白さにひき込まれ

     障害者とともに表現する「バリアフリーワークショップ」にも取り組み始めたのは1996年。振付師としてすでに脚光を浴びていた香瑠鼓さんに、学習障害のある女性が弟子入りしたいと申し出たことがきっかけだった。

     指導してみると、思いもよらないリアクションに驚きの連続。彼らとのやりとりの中に即興の面白さを見いだすようになり、次第に深くひき込まれていったという。

     ユニット名を「あぴラッキー」としたのは2011年。身体障害や学習障害などのメンバーが歌や踊りで自分の思いを表現する劇団として活動する。ステージでは健常者であるダンサーたちと障害者のメンバーが「対等」に渡り合い、数々の個性的な作品を生み出してきた。

     香瑠鼓さんは障害者を特別扱いせず、ダンサーのパフォーマンスに、メンバーの持つ独特の存在感をぶつけ、より魅力ある舞台へ融合させることに腐心する。

    独特の表現 観客魅了

     たとえば、売れっ子メンバーの篠塚俊介さん(35)は脳性まひのため、膝立ちで体を大きく揺らさなければ歩けない。しかし、彼が表現する「絞り出すような叫び」は、多くの観客の心を魅了する。

     昨年10月に行われた舞台「(おに)(ひめ)(たん)」では、戦に明け暮れる人間に怒る山の精霊を、繊細な動きで熱演した。カーテンコールで篠塚さんは、観客からの惜しみない拍手に涙を見せた。篠塚さんは「舞台に立つことは生きがい。たくさんの人が来てくれて本当にうれしい」と話す。

    愛情注ぎ、注がれて

     香瑠鼓さんは「彼らから受け取っているものは愛情」と言い切る。不器用ながらストレートに感情を表現する姿にいつも心を打たれるという。

     2月の公演では「彼らの存在感と魅力を存分に楽しんでいただきたい」と、最高の舞台となるよう彼らを支えている。

    2017年02月07日 11時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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