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    その体調不良、脱水かも? 

    専門家に聞く予防と対処法

     体がだるい、食欲が出ない、気持ちが悪い、体のふしぶしが痛い……最近ちょっとバテ気味?と思うような体調不良に悩まされたら、それは脱水症状かもしれません。そのリスクは、熱中症が多発する夏場はもちろん、1年を通じてあります。さまざまな病気を引き起こし、重症化すると意識がもうろうとして命の危険も。高齢者と子供は特に注意が必要です。予防と対処法を、専門の医師で済生会横浜市東部病院周術期支援センター長兼栄養部部長の谷口(たにぐち)英喜(ひでき)さんに聞きました。(聞き手・横田博行)

    多くの病気の原因に

     体の水分(体液)が減少する状態が脱水です。体温が上昇したり、体の栄養が足りなくなったり、乳酸や尿素などの老廃物を尿とともに体の外に出せなくなったりすることで、体調不良が起こります。

     あらゆる病気は、脱水が原因で起こっていることが多いです。病気の初期症状として脱水が起きることもあります。病院で、体調が悪くてやってきた患者にまず何をするかというと、点滴です。これは、体と同じ組成の水分を補給して、まず脱水を治しておくためです。

    1年を通じてリスク

     脱水のリスクは1年を通じてあります。環境要因と体の中の要因の、どちらでも起こります。環境要因としては、高温や乾燥。夏は気温や湿度が高い時、日光が強い時に、大量に汗をかいたりすることで起こります。冬場は、エアコンで乾燥した空気が部屋に充満し、体の水分を奪ってしまうことで起こります。

     季節の変わり目も、脱水になりやすいです。急に冷え込んだりすると、自律神経の反応がついていけず、体温を調節したり水分を保持したりする力が正常に働かなくなるからです。

     一方、体の中の要因は、水分の摂取不足によるものです。トイレが近くなるからと水分を控えたり、食欲が落ちて食事の量が減ったりすると、汗をかかない冬場でも、脱水になります。風邪をひいたり下痢や嘔吐(おうと)をしたりしてもリスクは高まります。

    こまめな水分補給で予防 アルコールはNG

     脱水はいつなってもおかしくない、と常に頭の中において、普段から予防を心がけることが大切です。規則正しい食生活と、十分な睡眠、こまめな水分補給が大切です。食事を十分とれていれば、水、お茶でよいですが、食欲がなくて疲労がたまっている時は、塩分が含まれているスポーツドリンクや、経口補水液がよいです。

     ただ、スポーツドリンクは糖もたくさん含んでいるので、運動もしないでたくさんとると、エネルギーが過剰になります。特に、糖尿病の人は血糖値が上がることがあるので注意が必要です。経口補水液は体内の水分と同じ組成で作られており、糖分が少ないので安全でしょう。

     お酒は、飲めば飲むほど体から水分が奪われます。飲んだ分以上の水分が尿で出てしまいますし、肝臓でアルコールを分解する時にも水分が使われますから、逆効果です。

    脱水になったら…水だけでは危険

     脱水の症状が表れたら速やかな水分補給が必要ですが、水ばかりを大量に飲むのはよくありません。体の中に水がたまったので「もう水はいらない」と体が反応し、尿でどんどん出してしまう可能性があるからです。また、体の塩分濃度が低下するので、ひどくなると意識がもうろうとしたり、けいれんや不整脈が起きたりすることもあります。

     水だけでなくカリウムやマグネシウムなどの電解質も補う必要があります。経口補水液は、スポーツドリンクより成分組成が厳格に決められており、点滴と同じ水分補給効果があります。家庭でも砂糖と塩と水で作れますが、手作りのものは電解質を十分に補うことができず、保存もきかないので、急場のために市販の経口補水液をストックしておくと安心でしょう。

     症状の程度によりますが、自分で水分をとれるようなら、経口補水液などで補給し、それから病院にいきましょう。意識がもうろうとするようなら、すぐに病院です。

    高齢者、幼児は脱水になりやすい

     小学校に入る前の子供と、65歳以上の高齢者は、脱水になりやすいです。

     子供は、新陳代謝が盛んで、体の中で水分をたくさん使いますし、腎臓の機能や汗のコントロール機能が十分に発達していないので、ちょっと水分が足りなくなったら、すぐに脱水になります。「のどがかわいた」と言ったら、どんどん水分をとらせたほうがよいです。

     高齢者は、体の中に水分をためる機能が低下し、体内の水分量自体が減ります。人体で、水分をためる貯蔵庫の役割を果たすのは、筋肉です。筋肉量は30歳をピークに衰えて、ためていた水分が減っていくので、体の水分量自体が減ってしまうのです。また、食べたり飲んだりする力が落ち、腎臓の機能も衰えるので、飲んだものが尿ですぐ出てしまいます。さらに、のどがかわいたというセンサーが衰えて、かわきを感じなくなるのです。のどがかわいていてもいなくても、定期的に水分補給することです。

     特に寝る前と、朝起きてすぐのタイミングが大切です。寝ている間は水分をとらないので脱水になりやすいです。救急車の搬送件数をみると、午前4~8時の朝方に多い。これは、脱水が原因で心筋梗塞を起こすケースがあるからです。口いっぱいに含むぐらいでもよいので、寝る前に水分を補っておきましょう。

    「かくれ脱水」を見抜く

     脱水の症状がはっきり表れる前に、体からすでに水分が失われている状態、これを私たちは「かくれ脱水」と呼んでいます。何か少し疲れやすい、集中力が落ちている、症状としてはそれくらいで、さほどの体調不良の自覚がない、そういう時に、かくれ脱水の状態になっている可能性があります。

     本格的な脱水は、ひどくなると、命にかかわります。かくれ脱水のうちに体の水分減少に気づいて、水分を補っておくことが大切です。

     

    もしかして脱水? 年代別「見分けるサイン」


    <乳幼児>
    機嫌が悪い
    泣いてばかりいる
    おっぱいを吸ったままなかなか離さない
    おむつが ( ) れていない
    泣いても涙が少ない
    暑いところで汗が出ない
    微熱がある
    大泉門(前頭部にある骨と骨の継ぎ目)が陥没している
    眼球が陥没している

    <学童>
    元気がない
    食欲がない
    暑いところで汗が出ない
    ふらつく
    立ちくらみを起こす
    頭痛を訴える

    <大人>
    夏バテぎみと感じる
    頻繁にのどが渇く
    尿の色がいつもより濃い
    口の中、口の周りが乾く
    二日酔いのような症状がある
    日中、トイレに6時間以上も行かない
    口の中がネバネバする
    足がつる

    <高齢者>
    トイレに行く回数が減っている
    便秘になる
    食べる量が減った
    なんとなく元気がない
    昼間寝てばかりいる
    暑いのに、皮膚がサラサラとしている
    微熱がある
    認知機能の低下がみられる
    口臭がある
    歯周病による歯茎の腫れや痛みを訴える
    いつも食べている味なのに、塩辛い、味がないなど味覚異常がある
    わきの下が乾いている

    谷口英喜著「イラストでやさしく解説!『脱水症』と『経口補水液』のすべてがわかる本」
    (日本医療企画、2014年)より作成

    プロフィル
    谷口 英喜( たにぐち・ひでき
     済生会横浜市東部病院周術期支援センター長兼栄養部部長。専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。著書に「熱中症、脱水症に役立つ 経口補水療法ハンドブック 改訂版」「イラストでやさしく解説!『脱水症』と『経口補水液』のすべてがわかる本」など。専門医らで作る「教えて!『かくれ脱水』委員会」副委員長。

    2017年05月18日 10時23分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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