文字サイズ
    各界で活躍する著名人に影響を与えた「1冊」に迫ります。

    ラグビー日本代表メンタルコーチを務めた荒木香織さん(2)

    心を化粧するメンタルトレーニング

     ワールドカップ(W杯)・イングランド大会では、ラグビー日本代表である日本人選手と外国人選手の混成チームが「日の丸」を背負い、絶妙なチームプレーを繰り広げた。その裏には、異文化間につきものの苦労が相当あったのではないか。日本の未来社会もイメージしながら、荒木にそう聞くと、「最初の1~2年目でその辺は相当取り組んだので、ほとんど問題はなかった」と否定した。

     「ラグビーって日本人も外国人もいるし、いろんな体格の人がいる。チームもばらばらのところから来ているし。ラグビーって、そういうスポーツなんです。それを言うなら、コーチが1人を除いて全員外国人で、白人のコーチが日本人を中心としたチームをコーチングすることの方がもっと難しかった。外国人コーチはほとんど日本語をしゃべれない中でコーチングしているわけですから」

     言葉だけではない。コーチ陣と選手とのラグビーに対する考え方の違いが大きい。

     卓越した組織論にもなっている『エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」』(生島淳著、文芸春秋)によると、ヘッドコーチ(HC)のエディーは日本人選手が練習中に「はい」「はい」と返事をするのに、伝えたはずのことを理解していないことが多々あると批判している。コーチ陣は、この問題をどう克服していったのか。

     「最後まで大変でした。最初から私とエディーさんの間では課題はそれでしたし、(選手たちの)マインドセット(考え方の基本的枠組み)を変えてほしいと要求されていました。最後まで戦い続けましたけど、それ(コーチの言われたとおりに動くこと)は日本人選手のせいではないんです。そういう教育を受けているので。それをいきなり西欧型に当てはめようとしても、難しい。ただ、『いいよ。グッド・ジョブ』と言われたことを日本の選手は受け流すんですよね。『今のは良かった』と言われているのに知らん顔するんですよ。それは良くなくて、ほめられたら『ありがとう』って手でも上げて、『今ので良かったんや』というんを覚えといて繰り返せばいいわけじゃないですか。日本人はそういうふうにコーチングされることも、コーチされる能力もあまりないんです」

     日本代表がさらなる高みを目指すには、選手たちが自ら考えてプレーすることに加え、コーチングの受け方も変えていく必要があると荒木は語る。「自信は自分がつけないとつかないんですけど、エディーさんが自信がつくよう声をかけてくれているのに、選手たちはそれを受け取らない。そういうところは変えていかないと」とも話した。

    2015年11月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    PR情報
    お墓・ハカダス
    大手町モール
    ブランディア
    アーカイブ