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    あったか「おでんしゃ」大人気…豊橋

    • 駅前の電停から「おでんしゃ」に乗り込むお客たち(愛知県豊橋市で)
      駅前の電停から「おでんしゃ」に乗り込むお客たち(愛知県豊橋市で)

     夕暮れ時、寒さに背中を丸めた人たちが路面電車に吸い込まれていく。入り口には赤提灯(ちょうちん)。愛知県豊橋市の豊橋鉄道が運行する「おでんしゃ」だ。

     赤提灯が恋しくなる11月から2月末まで、年末年始を除いて毎日運行される「走る屋台」。9年目の今年度は、昼間の便も含めて約150便運行するが、予約開始日に県内外からのお客でほぼ満杯となる人気電車になっている。

     豊橋市内、片道約5キロのコースを、途中に休憩もはさんで約1時間20分で往復する。30人乗れば満員だ。「おでんしゃ」内のサービスは、社員がひとつひとつこだわり抜いて選んだ。スタート時は、社員がスーパーで売られている全てのレトルトおでんを食べ比べして、使う商品を決めた。湯気が上がる熱々を食べてもらおうと、容器はひもを引っ張ると温まる釜飯用のものを採用した。

     車体はかわいいイラストでラッピングされ、車内にはのれんや提灯が揺れる。接客は、同社の女性バスガイド。1955年製の車体は、おでんの期間が終われば、全ての装飾が社員によって取り外され、通常の運行に戻る。

    • 後部に掲げられた手作り提灯が「おでんしゃ」の目印だ
      後部に掲げられた手作り提灯が「おでんしゃ」の目印だ
    • 社員の手で飾り付けされた「おでんしゃ」の車内。心地よい揺れに身を任せていると、おでんもお酒も進み、車内は自然に盛り上がる
      社員の手で飾り付けされた「おでんしゃ」の車内。心地よい揺れに身を任せていると、おでんもお酒も進み、車内は自然に盛り上がる

     豊橋鉄道の路面電車は1925年の開業。自動車の普及などに伴い、63年度に957万人あった輸送人員は、2003年度には260万人に落ち込んだ。何とか乗客を呼び戻そうと夏にビール電車を始めた。夏のビールが好評だったので、冬にも何か企画をと考え出されたのが「おでんしゃ」だった。

     07年にスタートした「おでんしゃ」の利用者は、今年度の見込み分も含めて、9年間で2万4000人に及ぶ。「おでんしゃ」を考案し、現在は総務部で次長を務める戸田昌裕さんは「ほとんどもうけはないが、今や冬の風物詩として定着した。全国的にも知られる豊橋名物になってきた」と話す。

    • 今では地元の魚肉練り製品会社が納入する「おでんしゃ専用パック」を使っている。特産のうずらの卵、ちくわが入っていて、ひもを引っ張ると温まる容器を使っている
      今では地元の魚肉練り製品会社が納入する「おでんしゃ専用パック」を使っている。特産のうずらの卵、ちくわが入っていて、ひもを引っ張ると温まる容器を使っている
    • 地元の酒造会社がオリジナルラベルのカップ酒を提供している。特製の升は毎年デザインが変わる
      地元の酒造会社がオリジナルラベルのカップ酒を提供している。特製の升は毎年デザインが変わる

     「おでんしゃ」の相乗効果でビール電車の利用者も伸びた。豊橋鉄道の路面電車全体の輸送人員も持ち直していて、昨年度は300万人を超えるまでになった。豊橋鉄道は「おでんしゃ」の名称を商標登録しており、今後も名物電車として活用していくつもりだ。

    • 信号待ちの車列の前をゆっくりと曲がる「おでんしゃ」。おでんやビールがこぼれないよう、低速安定運転がモットーだ
      信号待ちの車列の前をゆっくりと曲がる「おでんしゃ」。おでんやビールがこぼれないよう、低速安定運転がモットーだ

     貸し切りの新年会として団体で利用した宮地啓史さんは「予約が大変。6人でかけまくって40分後にようやくつながった。普通の飲み屋で飲むのとはひと味違う。狭い中で一体感とおいしいおでんが味わえる」と魅力を話す。ビール電車も含め今回が6回目の利用だという。もはや常連客だ。

     料金は、飲み放題、弁当などが付いて、1人税込み3900円。団体の場合は、28人で同10万3000円。(写真と文 編集委員・鈴木竜三)

    ※「おでんしゃ」は、1月25日付のThe Japan Newsで紹介されました。英文の記事はこちら

    2016年01月27日 15時56分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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