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    新幹線や寝台特急、SLの最新ニュースから鉄道資料を展示する博物館の情報まで、鉄道ファン必見のコーナーです。

    140円首都圏大回り 記者がやってみた

     鉄道を利用する場合、利用者がどんなルートで目的地に行こうと、途中下車しないなど一定の条件を満たせば同じ料金しかかからないことをご存知だろうか。鉄道ファンには広く知られ、鉄道各社も“公認”する、このルールを最大限に利用し、たった140円で房総半島と1都6県を巡る20時間、760キロの旅に出かけた。(斎藤健二)

    隣の駅まで20時間、760キロの旅

    • JRの初乗り運賃140円で760キロの旅に出発だ
      JRの初乗り運賃140円で760キロの旅に出発だ

     JRには、東京、大阪など各大都市の近郊区間内のみを利用する場合、実際の乗車経路にかかわらず、最安経路の運賃で乗車できる特例がある。同じ駅を2回通らない、改札を出ないなどのルールを満たし、“一筆書き”のルートを取ることが条件。これを鉄道ファンは「大回り乗車」と呼ぶ。

     計画を練るにあたり、昨年8月に1都6県500キロを巡った東京都調布市の黒澤眞さん(81)に話を聞いた。「時間のある中高年向きの遊びだね。電車内は涼しいし、大宮や上野はエキナカが充実し、飲食にも困らない。醍醐味は達成感」。休みながらグルメも楽しむ旅もいいし、健脚の人は距離重視もいいと勧めてくれた。

    心配のタネはトイレだったが…

     まずは発着地点を池袋と隣駅の目白に決め、時刻表とにらめっこ。8月下旬にまずは3時間かけて千葉・館山を目指した。20時間の旅で心配の種はトイレだ。途中で降りると、次の電車は1時間後になり、計画は大きく狂う。壮大な旅への緊張からか、錦糸町あたりからおなかがゴロゴロ。幸いにも車内にトイレがあり、事なきを得た。

     君津からは気を取り直してボックス席の窓側に陣取る。所々で東京湾が見え、対岸には三浦半島も。南国風の館山駅舎が旅情をかきたてる。外房線鵜原~勝浦の海には波とたわむれるサーファーたち。改札外に出られずひたすら電車に乗る身には、波に乗る彼らがひときわまぶしく見えた。

    • 車窓から見えた外房の海。サーファーたちがまぶしい。池袋から140円でこの景色が見られるとは…
      車窓から見えた外房の海。サーファーたちがまぶしい。池袋から140円でこの景色が見られるとは…

     銚子方面に向かうが、九十九里浜からは線路が離れており、海は見えない。海よ、さらば。成田線では飛行機が上空を横切っていく。

    山下清ゆかりのそば屋で腹ごしらえ

    • 知る人ぞ知る我孫子駅名物の特大から揚げそばに舌鼓
      知る人ぞ知る我孫子駅名物の特大から揚げそばに舌鼓
    • グリーン車だって別料金を払えば乗ることができる
      グリーン車だって別料金を払えば乗ることができる

     我孫子に到着すると、放浪の画家山下清が働いていたホーム上のそば屋弥生軒へ。1個200グラム以上ある特大から揚げそばに目が点。柔らかくてジューシーで、甘みのある麺つゆとも相性がいい。10分で完食。

     常磐線、水戸線、両毛線を乗り継ぎ、記者の故郷である群馬・高崎に。せめて名物だるま弁当で帰郷した気分に浸ろう。埼玉・大宮まではリッチにグリーン車を使い、弁当を開ける。出発から15時間。30年ぶりに食べた山の幸たっぷりの弁当が、ひときわおいしく感じた。乗車券は140円切符だけだが、特急料金、グリーン車料金を別に払えばOK。空いた時間に大宮「エキナカ」のカフェでビールを1杯。ラストスパートへ景気づけだ。

     ここからゴールまでの3時間が長かった。騒々しい都会の電車に、疲労が一気に吹き出す。埼京線と武蔵野線、南武線、京浜東北線を乗り継いだが、疲労と眠気で体が重く、乗り換えがつらい。いい旅夢気分が苦行の旅になってきた。

     品川に着くと、ふらふらになりながら山手線の電車に乗り込み、目白へラストラン。目をつぶって到着をただただ待つ。ゴールしたのは午前0時15分。大回り乗車であること、記念に切符を持ち帰りたいことを改札窓口の駅員に告げると、丁寧にスタンプを押してくれた。

     乗った路線数15、乗り換え18回。走行距離は、直線だと東京~山口県に相当する760・5キロ。所要時間はほぼ20時間。富士登山に匹敵する達成感と言っても大げさではない旅だった。

    【動画】140円切符で20時間、760キロの旅に挑戦(撮影・斎藤健二)

    2016年09月29日 13時17分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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