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    旅の専門誌「旅行読売」から、旅に役立つ特選情報をお届けします。

    山陰まんなか旅(1)ローカル線ぶらり町さんぽ

    大山開山1300年祭、 不昧 ( ふまい ) 公200年祭……2018年注目のエリア!

    • 松江しんじ湖温泉駅を出発していく列車
      松江しんじ湖温泉駅を出発していく列車

     宍道湖(しんじこ)や中海、大山(だいせん)周辺は山陰地方(鳥取県、島根県)の中心エリア。出雲大社や松江城をはじめとする門前町や城下町の散策、玉造(たまつくり)皆生(かいけ)などの温泉、カニやイカなどの美味も多い。6回にわたって“山陰まんなか”を紹介する第1回はローカル線に乗ってノスタルジーを探しに行こう。

     旅の始まりは神話の国、出雲から。出雲大社に向かう神門(しんもん)通りをそぞろ歩く人が多い。松並木の参道を進み、大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)(まつ)る本殿を参拝。本殿左にある神楽殿の大注連縄(しめなわ)は圧倒的な迫力だ。

     神門通りを戻り、大鳥居近くにある出雲大社前駅から一畑(いちばた)電車に乗った。おしゃれな洋館のような駅舎の窓はステンドグラスがはめ込まれ、駅構内に止まっているオレンジ色の車両に馴染(なじ)んでいる。この「デハニ50形」は昭和初期に造られた日本最古級の車両で、現役は退いたものの雲州平田駅構内で運転の体験(http://www.ichibata.co.jp/railway/dehanidream/)ができる。

     どこか懐かしく感じるのは、京王や東急などの車両を改造したものだからだろうか。小さな列車だが、直線では結構な速さで走る。冬枯れの原野を突き進み(その)駅を過ぎると、右に宍道湖が姿を現した。対岸にぼんやりと灯る明かりがはっきりする頃、松江しんじ湖温泉駅に着いた。

    寛げる古民家に泊まる

     松江市内中心部に立つ米村家(よねむらや)は、昨春オープンしたばかりの古民家ゲストハウスだ。オーナーのロバートソン江美さんが築100年以上の祖父母宅を改装した。「私が住むようになって家が生き返りました」と言い、和洋折衷の調度品には松江出身の人間国宝、安部榮四郎の和紙を使うなど、細部にもこだわっている。1日1組限定なので、我が家のように(くつろ)げる。周辺に足を延ばすと、国宝の松江城は徒歩圏内で、松江しんじ湖温泉には日帰り入浴できる宿もある。

     翌日はまず、山陰線で安来(やすぎ)の足立美術館へ向かった。美術品を鑑賞する前に、枯れ山水の庭園を額絵や掛け軸に見立てた窓から眺める。館内で印象に残ったのは、横山大観の六曲一双の屏風(びょうぶ)絵「神州第一峰」。絵から離れるほど迫力が感じられた。心静かに名作と向き合った後は、隣接する当地を代表する民俗芸能の殿堂へ。

    • 300人収容の演芸ホールで1日4回、安来節の公演を行う
      300人収容の演芸ホールで1日4回、安来節の公演を行う

     安来節演芸館は展示だけでなく毎日4回の公演を行っており、芝居小屋風の舞台で安来節を体感できる。安来節は300年前に原型ができたといわれ、地元の景勝や文物を七七七五調で歌い上げる甲高い節が心に響く。

     歌に合わせて踊るのが「どじょうすくい」。もともと酒席で座興として踊られていたのが安来節と結びついた。コミカルな男踊りに対して、女踊りは2人1組で軽快に踊る。NHK連続テレビ小説「わろてんか」でヒロイン夫婦が安来で踊り子をスカウトし、大阪の寄席で女踊りを披露するシーンが放映されたこともあり、人気が再燃している。

     安来市中心部にある1934年に改築された書院造りの料亭「山常楼(やまつねろう)」で境港の魚介類を使った昼食を取り、米子へ移動した。

    小路の残る城下町を歩く

    • 川沿いに趣が残る白壁土蔵群
      川沿いに趣が残る白壁土蔵群

     米子は隠れた昔町で、豪商の家の庭に天守閣の(しゃちほこ)が残っていたり、九つの寺の山門が430メートルも一直線に並ぶ寺町があったりと発見が多い。北前船の交易で栄えた頃の町家は、間口が狭いのに奥行きが50メートルほどもある独特の造りだ。

     米子下町観光ガイドツアーでは2時間で町を案内してもらえる。ガイドの川越博行さんは「100本ほどある小路(しょうじ)をはじめ、町家やお地蔵さんなど、歩くからこそ感じられる城下町風情が残っています」。一銭銅貨が看板に彫られた駄菓子屋には、ひっきりなしに子どもが買いに来る。何の変哲もないブティックに入ったら、城の梁材などを転用した吹き抜け空間のある町家で驚いた。約15人のガイドはそれぞれの“マイコース”を持っているそうだ。

    妖怪の町はカニもうまい

    • カニをはじめとする12の直売店と食事どころ2店が並ぶ境港水産物直売センター
      カニをはじめとする12の直売店と食事どころ2店が並ぶ境港水産物直売センター

     皆生温泉に泊まった翌日は境線の鬼太郎列車に乗った。境港市出身の水木しげるさんの作品「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターが車体だけでなく座席にも描かれている。

     境港駅に降り立つと、駅前に妖怪たちが集まっていた。駅から延びる水木しげるロードがリニューアル工事のため、各所に散っていた妖怪のブロンズ像が“世界妖怪会議”に参加しているのだ。

     ロードを歩いていると、ブロンズではないねずみ男がレトロな理容店の前で手招きしていた。約800メートルのロードの先にある海とくらしの史料館に立ち寄った。明治時代の酒蔵を改装した建物で、4000点もの魚介類の剥製を展示している。

     境水道に沿ってさらに進み、魚市場隣接の水産物直売センターに入ると、松葉ガニや紅ズワイガニがズラリと並んでいた。「美味(おい)しいカニ入ってるよー」と威勢のいい声が飛び交い、通路は人であふれている。財布のひもが緩んで、土産の品定めに力が入った。

     文・中野秀俊/写真・宮川透


    【DATA】

    一畑電車 運転体験(http://www.ichibata.co.jp/railway/dehanidream/

     1日コース(11時~15時)講習、構内見学、体験運転 1万3000円(フリー乗車券、弁当付き)

     夕方コース(16時~18時)講習、体験運転 1万2000円(フリー乗車券付き)

     金・土・日曜・祝日開催(松江水郷祭・出雲神話まつり開催時、年末年始休)

     電話 0853・62・3383 FAX 0853・62・3384


    米村家(http://yonemuraya-matsue.com/

     松江しんじ湖温泉駅からバス10分、松江駅からバス15分

     1泊朝食5人まで2万1600円~ 

     電話 0852・65・0280


    足立美術館(https://www.adachi-museum.or.jp/

     安来駅から無料送迎バス20分

     9時~17時(4月~9月は~17時30分)

     新館のみ 4月18日休

     2300円

     電話 0854・28・7111


    安来節演芸館(http://www.y-engeikan.com/

     安来駅からバス20分

     10時~17時

     水曜休(祝日の場合開館)

     600円

     電話 0854・28・9500


    山常楼(http://www.yamatsunero.jp/index.html

     安来駅から徒歩5分

     昼食 11時30分~14時

     火曜休

     電話 0854・22・2040


    米子下町散策ガイド(http://www.yonago-navi.jp/

     希望日の2日前までに要予約

     無料

     電話 0859・22・6317(米子市観光案内所)


    海とくらしの史料館(http://umikura.com/

     境港駅から徒歩20分

     9時30分~17時

     火曜休(祝日の場合翌日休)

     400円

     電話 0859・44・2000


    (月刊「旅行読売」2018年3月号より)

     月刊「旅行読売」は、1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内は こちら

    2018年03月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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