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    旅の専門誌「旅行読売」から、旅に役立つ特選情報をお届けします。

    山陰まんなか旅(3)古墳や遺跡、神話のふるさとドライブ

    大山開山1300年祭、不昧公200年祭……2018年注目のエリア!

    • 米子の町並みや美保湾を望む丘陵に立つ妻木晩田遺跡の復元高床倉庫
      米子の町並みや美保湾を望む丘陵に立つ妻木晩田遺跡の復元高床倉庫

     宍道湖(しんじこ)や中海、大山(だいせん)周辺は山陰地方(鳥取県、島根県)の中心エリア。6回にわたって“山陰まんなか”を紹介する第3回は、弥生時代の遺跡から古墳、神々の集う神社まで、いにしえの神秘を感じるスポットをドライブしよう。

     古代を探るドライブのスタートは米子鬼太郎空港。レンタカーで北上し、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者、水木しげるさんが幼少期に足(しげ)く通ったという正福寺(しょうふくじ)に寄ってから、境港へ。境港駅から続く「水木しげるロード」には妖怪のブロンズ像がそこここに立っている。ロード沿いの「かにじまん」で昼食。新・ご当地グルメ「新かにめし」の紙の包みを開けると、真っ赤なベニズワイガニが姿を現した。同店は水産会社も経営しているため、新鮮なカニを安価に提供している。

     開運八社巡りの一つ、富益(とみます)神社に詣で、丘の上に立つ粟嶋(あわしま)神社には息を切らしながら参拝した。小さなお社なのに地元の人と行き交い、大事にされているのだろうと感じた。

     大山山麓の丘陵地に広がるのが妻木晩田(むきばんだ)遺跡。史跡公園を含む遺跡は170ヘクタールに及ぶというので、文化財主事の家塚英詞さんと一緒に歩いた。1世紀後半の洞ノ原(どうのはら)墳丘墓群は、四角形の四隅が突き出た四隅突出型の墓だという。「四隅突出型墳丘墓は出雲で多く見つかっている墓の形なので、当時何らかの接点があったのではないでしょうか」と家塚さんは説明する。

     ゆるやかな坂を下っていくと、高床倉庫が見えてきた。日本海を見晴るかす絶景だ。復元した竪穴住居の中に入ると、高い天井から光が漏れていた。1800年前、ここでどのような生活が営まれていたのだろう。遺跡からは900棟以上の建物跡が発見されており、大きなムラが形成されていたことが推定されるという。

    • 八重垣神社にある鏡の池
      八重垣神社にある鏡の池

     翌日訪れた安来(やすぎ)市の山中にある清水寺(きよみずでら)は開創1400年を超える古刹。そびえたつ石垣に圧倒されるが、「尼子(あまご)氏と毛利氏が争い、当寺は焼き打ちされました」という清水谷善曉(ぜんぎょう)執事長の話に歴史の一端を垣間見た。本堂の裏手に立つ三重塔は戦乱で焼失したが江戸時代、地元の信徒によって再建された。境内の宝物館で鑑賞できる摩多羅(またら)(しん)坐像(ざぞう)は本来、秘神で、全国的にもかなり珍しい。

     松江に移動し、八重垣神社へ。縁結びの神様として有名で、若いカップルの参拝が絶えない。「夫婦和合のご神徳もあるので、年齢に関係なくご参拝ください」と宮司の佐草敏邦さん。

    • 「ル レストラン ハラ オ ナチュレール」の奥出雲和牛のハラミロースト
      「ル レストラン ハラ オ ナチュレール」の奥出雲和牛のハラミロースト

     松江の「ル レストラン ハラ オ ナチュレール」でランチを楽しんだ。オーナーシェフの原博和さんはクルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS瑞風(みずかぜ)」の料理監修をしており、豪華列車の料理を手軽に味わえる。「地元にこだわった野菜が自慢です。ボリュームもありますよ」と原さん。軟らかな牛ハラミにさわやかな酸味のソースが合う。

     荒神谷(こうじんだに)遺跡は考古学の歴史を一変させる大発見があった遺跡だ。1984年に道路工事の調査で偶然発見されたのは、358本の銅剣など2000年前の大量の青銅器。それまで全国で出土した銅剣の総数は300本余りだったから、その衝撃が分かる。全ての出土品は現在、国宝に指定されている。

     発掘現場は当時のまま保存されており、見学できる。ガイドの品川則之さんは「遺跡が身近に感じられるようになった発見でした」と言う。一部形状の異なる銅鐸(どうたく)があるなど、解明されていないことは多い。想像力をかきたてられるところこそ、古代の魅力なのかもしれない。

     日本三美人の湯の一つ、「湯の川温泉」で源泉かけ流しの湯を存分に楽しみ、翌日は「出雲弥生の森博物館」へ。博物館周辺にある西谷(にしだに)墳墓群の四隅突出型墳丘墓は、妻木晩田遺跡とは比べ物にならないほど大きい。9号墓は62×55メートルもある。権力の象徴だったのだろう。

     館内ではジオラマを展示しているので、弥生人の鮮やかな服装や埋葬の様子を知ることができた。「1800年前は出雲が最も栄えた時代です。副葬品を見ると、岡山や北陸と交流があったと思われます」と学芸係長の三原一将(かずゆき)さん。交通が整備されていなかった弥生時代に人やモノの行き来があったことに驚いた。

    • 美しい銅剣がずらりと並ぶ古代出雲歴史博物館
      美しい銅剣がずらりと並ぶ古代出雲歴史博物館

     出雲大社を参拝すると、雲間から差し込んできた日が社殿を照らし、神々しく輝いた。その後、出雲大社に隣接する「古代出雲歴史博物館」で荒神谷の青銅器の数々と対面。発見現場で本物を見られなかったので、心待ちにしていた。壁一面にずらりと並ぶ様は圧巻だ。青緑色に輝き、ほぼ無傷の銅剣もある。神々の時代と古代の展示が隣り合っているのは出雲の博物館ならではだ。

     出雲に集まった神々が最後に立ち寄るという万九千(まんくせん)神社に行き、ドライブを終えた。

     文・中野秀俊/写真・酒井羊一

    【DATA】

    正福寺
    曹洞宗の寺院。本堂に水木しげるさんの妖怪画の原点になったとされる極楽や地獄を描いた六道絵(りくどうえ)がある。9時~17時/無休/無料/電話0859・42・3834

    かにじまん
    水木しげるロード沿いにある食事どころ。ベニズワイガニ1杯のほか、大山茶そばや茶わん蒸し、お吸い物などがセットになった新かにめし1500円。11時~18時/火曜休/電話0859・42・1520

    粟嶋神社
    中海に面した小高い丘の上に立つ少彦名命(すくなひこなのみこと)をまつる神社。187段の石段を上った本殿の裏に出雲大社の遥拝所がある。電話0859・29・3073

    むきばんだ史跡公園
    東西2キロ、南北1.7キロに及ぶ弥生時代の遺跡としては日本最大級の妻木晩田遺跡を整備した公園。土・日曜、祝日は火おこしなどの弥生体験のほか、GW明け~11月は発掘体験ができる(要確認)。園内を案内してくれるボランティアガイドがいる(平日13時30分~15時30分、土・日曜、祝日10時30分~12時30分、13時30分~15時30分。12月~3月は要予約)。9時~17時(7、8月は~19時)/第4月曜休、年末年始休/無料/電話0859・37・4000

    清水寺
    587年開創の天台宗の古刹。4万坪以上の広大な境内に最上階まで上れる三重塔や、国重文の阿弥陀如来像などを展示する宝物館がある。6時~18時(11月~3月は7時~17時)/無休/三重塔500円、宝物館500円(9時~16時、1週間前までに要予約)/電話0854・22・2151

    紅葉館
    清水寺の境内にある宿で、三重塔を正面に望む。豆腐をメインにした精進料理を楽しめる(2160円~)。11時30分~14時、17時30分~19時30分(夜は要予約)/不定休/電話0854・22・2530

    八重垣神社
    素盞嗚尊(すさのおのみこと)稲田姫命(いなたひめのみこと)をまつり、縁結びや夫婦和合の神社として知られる。境内奥の佐久佐女の森には、地上で幹が一つにつながる夫婦椿や、鏡の池がある。鏡の池では占い用紙に硬貨をのせて浮かべる縁結び占いができる。電話0852・21・1148

    ル レストラン ハラ オ ナチュレール
    松江しんじ湖温泉駅近くにあるフランス料理店。ランチは1450円と3500円の2コースで、主菜は奥出雲和牛のハラミローストなど3種から選べる(1450円のコースはメニューにより追加料金あり)。夜はおまかせのみ(5000円~)。11時30分~13時30分、18時~22時(要予約)/日・月曜休/電話0852・25・2010

    荒神谷史跡公園
    銅剣358本、銅鐸6個、銅矛16本が出土した荒神谷遺跡のほか、出土時の映像やジオラマを展示する博物館、古代復元住居、ハス池などがある。博物館9時~17時/火曜休(祝日の場合翌日休)、年末年始休/205円(特別展はその都度)/電話0853・72・904

    湯の川温泉 湯宿・草菴(そうあん)
    出雲空港から車5分、数軒の宿と日帰り温泉がある湯の川温泉。肌がつるつるになるナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉をかけ流しで楽しめる。湯宿・草菴は古民家を移築した離れやレストランでゆったり過ごせる。温泉は四つの半露天貸し切り風呂のほか、男女別の内湯がある。1泊2食2万4500円~/電話0853・72・0226(湯宿・草菴)

    出雲弥生の森博物館
    1800年前の四隅突出型墳丘墓や奈良時代にかけての55もの墓が残る西谷墳墓群に隣接する博物館。四隅突出型墳丘墓での葬儀を再現した10分の1模型や、棺に納められたガラス製品などを展示している。9時~17時/火曜休、年末年始休/無料/電話0853・25・1841

    古代出雲歴史博物館
    出雲大社や出雲国風土記、弥生時代の青銅器をテーマにした展示のほか、神話を映像で紹介するシアターもある。5月16日まで企画展「隠岐の黒曜石」を開催している(別途700円)。9時~18時(11月~2月は~17時)/第3火曜休(祝日の場合は翌日休※変更の場合あり)/610円(企画展は展示により異なる)/電話0853・53・8600

    万九千神社
    旧暦10月に出雲に集まる八百万の神が最後に寄り、直会(神宴)を催す神社。境内に立虫神社もある。電話0853・72・9412

    (月刊「旅行読売」2018年5月号より)

     月刊「旅行読売」は、1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内は こちら
    2018年04月18日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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