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    旅の専門誌「旅行読売」から、旅に役立つ特選情報をお届けします。

    花嫁を色とりどりの花が祝福・水郷潮来あやめ園

    茨城県潮来市

    アヤメの見頃5月下旬~6月下旬

    • 嫁入り舟に向かう花嫁を、人々が、アヤメの花が祝福する(撮影/長屋陽)
      嫁入り舟に向かう花嫁を、人々が、アヤメの花が祝福する(撮影/長屋陽)

     4月の初め、取材に訪れた「あやめ園」には、川から()み上げた水が勢いよく注がれていた。アヤメの若葉が風にそよぎ、根元を洗うように水が流れていた。通路を行くと、子どもの頃によく歩いた田んぼのあぜ道を思い出した。のどかな景色に出合えて幸せな気分になれた。

     目を閉じて満開の光景を想像する。紫、薄紫、白、黄、藤色……色とりどりの花が園内を埋め尽くし、あちらこちらにカメラのレンズを向ける人々。園内にかかる二重橋の水雲橋からは園全体を俯瞰(ふかん)できて、多くの人が歩を止めている。

     やがて一角から歓声が上がる。嫁入り舟の出発だ。潮来(いたこ)は水路や運河の街。かつて花嫁は、サッパ舟と呼ばれる和舟に嫁入り道具を載せて移動したという。その再現だが、花嫁は毎年、公募で選ぶ29人。花婿は河岸で待っている。本物の花嫁花婿が集まるから、見ている方も心から祝福の拍手を送りたくなる。

     そんな話を聞かせてくれたのは、長靴で園内を歩き回り、水流の調整に余念がない西山清二さん。西山さんは潮来市花菖蒲(はなしょうぶ)協会の会長も務め、あやめ園では10年以上、管理に携わっている。アヤメに恋い焦がれた一人だ。

     「潮来周辺では昔からアヤメが自生し、かつてはアヤメ農家も多くありました。あやめ園は1976年に開園し、今では500種100万株が花を咲かせます」と西山さん。「見る人に喜んでもらえたらうれしい。その一心で世話しています」と、顔についた泥を手でぬぐい、アヤメを見る西山さんの眼差(まなざ)しは優しい。

     今年の「水郷潮来あやめまつり」は5月26日~6月24日に開催。嫁入り舟は水曜11時、土曜11時・14時・19時30分、日曜11時・14時に運航。土曜夜の宵の嫁入り舟も幻想的で、「潮来花嫁さん」に歌われた「月の出潮を ギッチラ ギッチラ ギッチラコ」を体感できる。期間中は毎日、手()ぎの「ろ舟」に乗れる(1人1000円)。舟上から見るアヤメも風流だ。

    アジサイ1万株の二本松寺

    • 二本松寺のアジサイの群生。見学は9~16時、無休、300円、電話0299・64・2263
      二本松寺のアジサイの群生。見学は9~16時、無休、300円、電話0299・64・2263

     6月中旬以降ならアヤメに加えてアジサイが楽しめると聞いて訪ねたのは、市内の堀之内地区にある二本松寺。あやめ園から車で6キロ、6月中旬~7月上旬の花の時期の土・日曜は巡回バスが運行する。

     「2007年に妻の妹が亡くなり、その供養にと植えたことがきっかけですが、すっかり魅力にとりつかれて、100種1万株まで植えました」と話すのは、作業着姿で現れた住職の高森良仁さん。専門知識があったわけではなく、独学で栽培。重機も操り、4万平方メートルの境内に「あじさいの(もり)」を造りあげた。

     「気にかけ、目にかけ、手をかけて。365日忙しいけど、花には気持ちが通じるからね」と笑う。境内は森の斜面にあり、日当たりがいいのはメリットだが、アジサイを育てるには苦労が伴う。周辺には水田が広がり、「水を張ったばかりの輝く田んぼと花の群落の組み合わせが絶妙」という景色をぜひ見たくなった。

    • 「イタリアン ガレージ」の自家製リコッタチーズとムラサキイモのピッツア(1600円)など。11時30分~14時、17時30分~22時、火曜休、電話0299・63・1863
      「イタリアン ガレージ」の自家製リコッタチーズとムラサキイモのピッツア(1600円)など。11時30分~14時、17時30分~22時、火曜休、電話0299・63・1863

     昼食や夕食には、潮来駅の隣の高架下にある「イタリアン ガレージ」がおすすめ。昨年1月にオープンし、ピザ職人の大会で上位成績を収めた店長・村田友哉さんが腕をふるうピザやパスタの味が早くも評判になっている。アヤメの時期にはムラサキイモを使った特別メニューを用意。目で舌で、潮来の初夏を感じられる。

     文/渡辺貴由

    水郷潮来あやめ園
    電話/0299・63・1111(潮来市産業観光課)
    開園/入園自由
    入園料/無料
    交通/JR鹿島線潮来駅から徒歩3分。東京駅から鹿島神宮・鹿島セントラルホテル行き高速バス1時間10分の水郷潮来バスターミナルからJR広域連携路線バス10分。東関東道潮来ICから県道50、101号経由4キロ

    ※花の開花期間や見頃は例年の目安です。天候により変わる場合がありますので、お出かけ前に各施設へご確認ください。

    (月刊「旅行読売」2018年6月号より)

     月刊「旅行読売」は、1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内は こちら

    2018年05月11日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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