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    旅の専門誌「旅行読売」から、旅に役立つ特選情報をお届けします。

    山陰まんなか旅(4)岬と花と大山と…フォトスポット巡り

    大山開山1300年祭、不昧公200年祭……2018年注目のエリア!

     宍道(しんじ)湖、中海、大山(だいせん)周辺は山陰地方(鳥取県、島根県)の“まんなか”エリア。その見どころを6回連載で紹介する第4回は「フォトスポット」がテーマ。ファインダー越しに見えてくる山陰の自然と文化を体感しよう。

    神秘の岬から夕日の岬へ

    • 稲佐の浜は、大国主神(オオクニヌシノカミ)と建御雷神(タケミカズチノカミ)が国譲りの交渉をした伊耶佐(いざさ)の小浜と伝わる
      稲佐の浜は、大国主神(オオクニヌシノカミ)と建御雷神(タケミカズチノカミ)が国譲りの交渉をした伊耶佐(いざさ)の小浜と伝わる

     山陰に春嵐が吹き渡ると、海は澄み、山は青く、夏にかけて輝くような景色が広がる。フォトスポットを巡るなら今!と、出雲縁結び空港からレンタカーで出発した。

     まずは出雲大社の約1キロ西にある稲佐の浜から海沿いを北上して日御碕(ひのみさき)へ。きらめく日本海が眼前に広がり、たちまち開放感に包まれる。一帯は国譲り・国引き神話の舞台。しかも日御碕には神の島である経島(ふみしま)、出雲大社の祖神(おやがみ)とされる日御碕神社も鎮座する。断崖の灯台まで歩いてみると、足元の岩場が柱状(ちゅうじょう)節理(せつり)による幾何学模様で埋め尽くされており、岩までもが神秘的と目を見張った。

     参道にはイカ焼きや「みさき丼」の店が並び、その一軒、「まの商店」へ。みさき丼とは日御碕の海鮮丼の総称だ。店主が「自慢の味!」と胸を張るヒラマサ丼を味わってから、「(いち)(ばた)薬師」へ向かう。

     山道を上ってたどり着いた禅寺は、宍道湖や大山を遠望する深山の修行道場。座禅を体験してみると、聞こえてくるのは鳥の声や風の音だけ……。バシッと一喝してもらうと、不思議に肩の力みがとれて、呼吸が整い、姿勢も安定した。「座禅をすると、身も心も風にとけ込んで自然の一部になったような感覚になります」と、管長の飯塚大幸さん。カメラを置き、心の目で大自然を感じてみるのも大切なのだと気付かされる。

    • 奇岩や絶壁など迫力の景観が広がるなか、東洋一高い石積みの灯台が白く輝く日御碕。灯台の上部デッキへの参観料200円。海岸線には美しい松林と遊歩道が続く
      奇岩や絶壁など迫力の景観が広がるなか、東洋一高い石積みの灯台が白く輝く日御碕。灯台の上部デッキへの参観料200円。海岸線には美しい松林と遊歩道が続く

     すがすがしい気分で山道を下ると、待っていたのは花と鳥の楽園。「松江フォーゲルパーク」では1万株のベゴニアの花に囲まれたり、カラフルな鳥を腕にのせて餌をやったりと夢のような時間が楽しめる。

     夢のよう……といえば、「マリンパーク多古鼻」での宿泊もそうだ。島根半島最北端の岬にあり、空を(あかね)色に染めながら水平線に沈む夕日にうっとり。北には隠岐の島影が見え、満天の星にも息をのむ。5~8月中旬は夕日だけでなく朝日も見られるという。


    広瀬絣とアートな大山

     翌日は一気に安来(やすぎ)市まで南下して、広瀬(がすり)の里、広瀬町へ。広瀬絣は藍染め糸で織り上げる大きな絵柄が特徴で、戦前は多くの紺屋(こうや)が染めの技を競った。最後の1軒となった「天野紺屋」を訪ねると、糸から染める伝統的な広瀬絣から布を染める独創的な型染めまで多彩な商品が並ぶ。奥の工房は昔ながらの道具が使われ、懐かしい雰囲気だ。5代目・天野(ひさし)さんの気さくなトークにも引き込まれた。

    • 多彩な商品が並ぶ天野紺屋
      多彩な商品が並ぶ天野紺屋
    • とっとり花回廊から大山を望む
      とっとり花回廊から大山を望む

    • 大山が帽子をかぶったオシャレな写真が撮影できる植田正治写真美術館
      大山が帽子をかぶったオシャレな写真が撮影できる植田正治写真美術館

     青々と風に波打つ田んぼ、石州(せきしゅう)瓦の家並みを眺めながら田舎道を一路、鳥取県南部町の「とっとり花回廊」へ。ここまで来ると霊峰大山が目の前だ。園内に咲き誇る花々を絡めて写真をパチリ。地元で「伯耆(ほうき)富士」と称される、均整のとれた山容が心に焼き付く。

     大山のアートな写真が撮れる名所もある。伯耆町の「植田(うえだ)正治(しょうじ)写真美術館」だ。館内には「逆さ大山」の展望スポットが3か所あり、その一つにはガラスに黒い帽子が描かれており、大山が帽子をかぶったオシャレな写真ができる。“演出写真”で世界的に知られる植田正治らしい仕掛けだ。


    山陰の“名城”とベタ踏み坂

     3日目は、朝から「岩崎観光ブドウ園」でイチゴ狩り。熟した「紅ほっぺ」のジューシーで甘いこと! ヘタの付け根までおいしく、後口は甘酸っぱい余韻に包まれる。

     幸せ気分で「お菓子の(ことぶき)(じょう)」へ着いてびっくり。城と見まがう壮大な建物だ。モデルは米子(よなご)城で、総工費は24億円だとか。「先代会長が夢見たのがこの城と、おふくろの味である(とち)餅の商品化でした」と、営業課の柴田晶彦さん。栃餅は今や看板商品。栃の実拾いやもち米栽培に従業員も参加して作るという自慢の味を土産に買った。

    • テレビCMで一躍有名になった「ベタ踏み坂」こと江島大橋。総事業費228億円をかけて2004年に完成した。約45メートルの高さがあり、5000トン級の船が下を通過できる。
      テレビCMで一躍有名になった「ベタ踏み坂」こと江島大橋。総事業費228億円をかけて2004年に完成した。約45メートルの高さがあり、5000トン級の船が下を通過できる。

     壮大な建造物といえば、「ベタ踏み坂」の通称で有名な江島大橋も見逃せない。中海をまたいで境港市と松江市の江島を結んでおり、全長1446.2メートル。江島側から見るとまるで橋が空に向かって伸び、巨大な坂に見える。

     そんな仰天風景を正面に望む地に今春、大根島(だいこんじま)の「うなぎ処 (やま)()()」が移転オープンした。1914年の創業以来、香ばしい関西風の焼き方と秘伝のタレで愛される老舗。女将の渡部和子さんによると、40~50年前までは中海で天然ウナギがたくさん()れたという。現在は養殖ウナギを使っているが、長年、ウナギに親しんできた中海の食文化を大切に守り継ぐ。2階席で中海を見ながら特上うな重に舌鼓を打った後、境港で最後の買い物を楽しむ。

     「大漁市場なかうら」は、境港仲買組合の仲買人として目利きした質のいい魚介が自慢。「これからはサザエ、7月から9月はシロイカもおいしいよ」と旬の情報を聞きながら選ぶのが楽しい。玄関前には巨大な石像「がいな鬼太郎」(がいな=大きいの意)が鎮座。撮影旅の締めくくりは境港の“顔”とのツーショットで決まりだ。

     文・はるのいづみ/写真・酒井羊一

    【DATA】

    まの商店
    日本海のヒラマサを使った丼が15年来の名物。ブリよりも脂が少なく、さっぱりとした味わい。イカ、甘エビ、イクラも載って1300円。8時30分~16時30分/不定休/電話0853・54・5201

    一畑薬師
    平安時代から篤く信仰される「目のお薬師さま」。毎日、大釜で沸かして祈とうしたお茶湯が参拝者にふるまわれ、それを飲んだり、まぶたに塗ったりして眼病平癒を祈る。日中座禅は10時30分と14時(1000円、要予約)。ほかに夜の週末座禅会、朝がゆ座禅会などもある。写経は9~16時(1回1000円)。寺務所8時30分~17時/無休/電話0853・67・0111

    松江フォーゲルパーク
    自家栽培のベゴニア約1万株で一年中華やかに彩られた楽園。回廊でつながった丘陵の温室を周遊しながら90種類以上の世界の鳥とふれあえる。バードショーは毎日開催。4月から「ふくろうハウス」も新登場。9時~17時30分(10~3月は17時まで)/無休/1540円/電話0852・88・9800

    マリンパーク多古鼻
    大山隠岐国立公園の岬の山上にあるアウトドア宿泊施設。海を見渡せるキャビン(1~6人利用)が人気。朝夕食は自炊または近くの民宿から出前をとる(定食670円~、3日前までに要予約)。キャビン1棟1泊素泊まり1万800円~(4月1日~10月31日に大人2人利用の場合。詳細は要問い合わせ)、キャンプサイト1泊1650円/電話0852・85・3387

    天野紺屋
    1872年創業。伝統の織布技を極める4代目と、感性を生かした糸染め、型染めを得意とする5代目が生み出す多彩な製品が魅力。藍染め体験もできる(手ぬぐい2000円など、要予約)。10~18時/不定休/電話0854・32・3384

    とっとり花回廊
    大山を望む50ヘクタールの敷地に四季折々の花風景が広がる日本最大級のフラワーパーク。一周1キロの展望回廊や大温室、園内を15分で巡るフラワートレイン(300円)もある。9~17時(季節により異なる)/7月、8月、12~3月の火曜休(一部開園日あり、祝日の場合は翌日休)/1000円(12~3月は700円)/電話0859・48・3030

    植田正治写真美術館
    境港市に生まれ、生涯、山陰で作品を撮り続けた写真家植田正治が晩年にアトリエをと望んでいた地、大山の麓に立つ。代表作「少女四態」をモチーフにしたモダンな建物に本人寄贈の作品1万2000点を収蔵・展示。9~17時/火曜休(祝日の場合は翌日休)、12~2月と展示替え期間休/900円/電話0859・39・8000

    岩崎観光ブドウ園
    中海干拓地にある観光農園。イチゴの紅ほっぺを約5500本高設栽培しており、6月までイチゴ狩り、8~10月はブドウ狩りが楽しめる。イチゴ狩り10~16時、1時間1500円(要予約)/ぶどう狩り9時30分~日没、1時間1200円/電話0854・22・6627

    お菓子の壽城
    和洋多彩な菓子の試食や工場見学、展望台も楽しめる菓子のお城。名物の栃餅は白(6個760円~)、赤(8個830円~)、(きね)つき(8個1340円)の3種。賞味期限が3日の「赤とち餅」はここでしか買えない。9~18時/年末不定休/電話0859・39・4111

    山美世
    今春、客席130の大型店舗として江島に移転したウナギ料理の老舗。島の井戸水に三日三晩泳がせてからさばいたウナギを、甘めのタレで関西風に焼き上げるのが伝統。特上うな重(4266円)には大ぶりのウナギを1匹使い、ご飯の下にもかば焼きを隠し入れる。11~15時(持ち帰り16時30分まで)/1月1~7日、11月16日休/電話0852・76・3198

    大漁市場なかうら
    境港で水揚げされた旬の魚介をはじめ、一夜干し、まんじゅう、地酒も充実。食事どころでは、かにトロ丼(1150円)が人気。像高7.7メートルの「がいな鬼太郎」が目印だ。8時15分~16時30分/1月1~4日休/電話0859・45・1600

    (月刊「旅行読売」2018年6月号より)

     月刊「旅行読売」は、1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内は こちら

    2018年05月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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