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    基礎学力 講義で補う

    • (上)「リーディング」では絵本から小説まで、興味を持った本をできるだけ多く読むことが読解力や学ぶ意欲の向上につながる(昨年12月、流山市の江戸川大で)(下)江戸川大で使われている英語教材。英語を母国語とする児童や子供向けから読み始めることで英語への抵抗感を減らす
      (上)「リーディング」では絵本から小説まで、興味を持った本をできるだけ多く読むことが読解力や学ぶ意欲の向上につながる(昨年12月、流山市の江戸川大で)(下)江戸川大で使われている英語教材。英語を母国語とする児童や子供向けから読み始めることで英語への抵抗感を減らす

     江戸川大学(流山市)の図書館で、学生10人ほどが黙々と本を読んでいた。視線の先には、英語の児童向け絵本や小説など。リメディアル教育に位置付けられる「リーディング」の講義の最中だった。

     使われている一室の本棚には、英語を母国語とする国の小学生向け図書からディズニーアニメなどの物語、学習者向けに書き直された小説まで英語の約3000冊。「英語が苦手なまま大学に入った学生に、学ぶ意欲を持ってもらう講義です」と城一道子教授は説明する。

     大学に通う学生が限られていた時代と違い、希望すれば入学できる今、基礎学力が不足している学生を対象に行われているのがリメディアル教育だ。

     「リーディング」や「リーディング&スピーキング」は全学部の学生が受講可能。基本は興味や関心、英語のレベルに合った本で、易しい英語を多く読む「多読たどく」にある。2010年度にこの手法を取り入れたのは、英語力や学ぶ意欲の低い学生が一定割合で入学してくるからだった。文法や基礎を教える講義を導入したこともあるが、学生にとっては「単位を取っておしまい」だったという。

     多読は「辞書を引かない」「分からないところは飛ばす」「進めなくなったり、面白くないと思ったりしたらやめる」が原則。1回の講義で3~4冊、年間で平均2万5000~5万語程度を読む。英語の読み方、楽しさを知り、講義外でも継続的に学ぶ意欲につながるという。

     社会学部2年の柏戸和也さん(20)は、高校の英語のテストは60~70点で「得意とはいえなかった」と振り返る。大学に入り、「リーディング」では当初、1冊あたり200~500語ぐらいの本を読んでいて、「簡単すぎないか」とも思った。

     しかし、1冊の中に、同じ簡単な言い回しが何度も出てくるような易しい本を多く読むことで自然と単語力も付き、読むスピードも上がったと感じる。書店でアルバイトをしており、英語の本はどんなレベルであっても、概要をつかめるようになった。

     今は、米国の文化人類学者ルース・ベネディクトの「菊と刀」に挑戦中で、「この講義を受けていなかったら絶対に読もうと思わなかった」と苦笑いする。教職課程を取っていて、「英語の先生になるのもいいかな」。

         ◇

     城西国際大薬学部(東金市)では06年度から選択科目の薬学基礎科目(薬学基礎物理、化学、生物、数学など)とその演習科目をリメディアル教育として設定し、必要に応じて教員が学生に選択を勧める仕組みにした。

     しっかり取り組んだ学生は基礎固めができ、その後の学習がスムーズになったという。一方で受講が必要なレベルの学生が、負担増を理由に途中で脱落するケースもあり、11年度からは数学を除き必修化した。

     光本篤史副学部長は「面倒見のよい大学として、高校からは期待されている側面はある」と特異な立場を説明する。リメディアル教育への過度な期待には、「受験生には、センター試験で英語、数学、理科1科目の3科目で60%以上取れることを最低限の目標としてほしい」とくぎを刺した。

     

    【リメディアル教育】  基礎学力が一定水準に達しない学生に対して行われる。内容は、高校での未履修分野などを学び直す補習など。文部科学省の2012年度の調査では、全国の国公私立大(大学院大学は除く)の約5割にあたる384大学が補習を行っている。

    2015年01月22日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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