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    養老鉄道存続か廃線か 「公有民営」に難色も

    • 沿線住民や通学、通勤の足として欠かせない存在の養老鉄道
      沿線住民や通学、通勤の足として欠かせない存在の養老鉄道

     赤字経営が続く養老鉄道(揖斐―桑名、総延長約57キロ)が存続か廃線かを迫られている。昨年7月、線路などを所有する近鉄側が2017年度からの「公有民営方式」への移行を沿線自治体に提案したが、沿線7市町の足並みはそろわない。準備期間も含め、今年中に結論を出す必要があるとされる中、人口が減り続ける地域で住民の生活、通学通勤の足をどう維持するのか、決断が求められる。(湯山誠)

     昨年7月、沿線の自治体でつくる養老鉄道活性化協議会で、近鉄側が「赤字路線を存続するには公有民営方式を検討してほしい。時期は2017年度から」と提案した。近鉄が所有する敷地を無償貸与し、線路や車両などは自治体に無償譲渡する。

     近鉄養老線が前身の養老鉄道は2007年に開業。年間600万人余りが利用し、うち定期券での通学が5割、同通勤が3割を占める。しかし、乗降客は年々減り、開業以来赤字が続き、13年度の赤字は約9億5000万円。沿線自治体が3億円を上限に11年度から、補填ほてんしてきた。

     近鉄の提案を受け、自治体担当部署でつくる検討委員会は昨年11月、民間調査研究機関に養老鉄道の在り方についての調査を委託。今年2月に出た報告書によると、鉄道存続と廃線・バス代替の2パターンを検討した結果、「鉄道存続の場合は公有民営方式が有効」との報告がまとめられた。

     報告書について、各自治体とも基本的に「存続できるなら公有民営方式もやむなし」としているが、いろいろ思惑もあり、一枚岩とはいかない状態だ。

     西濃地域の中心都市、大垣市は公有民営方式への移行に難色を示す。人口減少による経営のさらなる悪化や、維持コストの増大などを理由にあげる。小川敏市長も6月市議会の一般質問で、「自治体が毎年赤字となる鉄道施設を保有、運営していくことになる。将来、市の負担が増加する恐れがある」などと答弁した。大垣駅がJR東海道線などと接続し、ターミナル機能があるだけに、他自治体より大きな負担を押しつけられる懸念もあるとみられる。

     一方、海津市の松永清彦市長は6月市議会で、乗降客調査の数字を挙げて「大垣市が最大の受益者」としたうえで、「大垣市に対し理解してもらえるよう努力していく。移行しなければ廃線しかない」と話した。

     沿線にある高校にとっても大きな問題だ。県立大垣養老高校(養老町)は全校生徒約700人のうち約260人が利用。虫賀文人校長は「存続か廃線かは本校にとっても影響が大きい。バス代替となれば始業時刻も変える必要があるかもしれない」と話す。

     公共交通に詳しい名古屋大学大学院環境学研究科の加藤博和准教授は「鉄道を残すなら公有民営方式は合理的で良い方法だ。商売として成り立たなくても、地域にとって必要で残す価値があるなら、精査して決断すべきだ」としている。

     ◇公有民営方式 鉄道など公共交通を維持するために、自治体が線路などの施設を保有し、鉄道事業者が施設を無償で借りて運行する事業体方式。近鉄の内部うつべ・八王子線が「四日市あすなろう鉄道」(三重県四日市市)として今年4月から運行開始。また、伊賀鉄道(同伊賀市)も2017年4月からの移行に向けて地元が合意した。

    2015年06月18日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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