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    県博物館学芸員 河部壮一郎さん28(関市)

    • 古生物の脳の進化を探る河部さん
      古生物の脳の進化を探る河部さん

     ◇恐竜好き研究の原点

     物心ついたときから恐竜が大好き。小学低学年のとき、映画「ジュラシックパーク」を見て「将来は恐竜博士になる」と決意した。恐竜に関する図鑑や本を両親に買ってもらい、自発的に恐竜の勉強を始めた。

     しかし、大学進学の際、恐竜の研究ができる大学が国内にないことを知り、化石の研究ができる地元の愛媛大学理学部に入学した。入学式の翌日、アンモナイトの研究家として知られる岡本隆准教授を訪ね、恐竜と同じ時代を生きたアンモナイトの標本を見せてもらい、恐竜熱が再燃した。岡本准教授からは「化石が出ている地層を知らないと、化石の理解につながらない」と教えられた。

     大学4年のとき、アンモナイトの産地として知られる北海道北西部の羽幌町で2か月間、地質と化石の調査を体験。修士課程から本格的に恐竜を研究したいと考えていた矢先、恐竜研究で有名な真鍋真・国立科学博物館研究主幹と愛媛県新居浜市の講演会場で知り合い、「恐竜の子孫である鳥の脳を研究したら面白い」とアドバイスを受けた。

     河部さんは当時、恐竜の骨などの調査に使われていたコンピューター断層撮影(CT)による3次元画像化の技術を鳥の脳に応用したら役立つと考え、ウミネコやキジバトなど25種類の鳥の脳サイズの細かな違いを研究。脳の横幅と容量に相関関係があることを見つけ、その計算式を導き出した。

     この修士論文の内容を千葉県で開催された古生物学会で発表したところ、優秀ポスター賞を受賞した。その内容を知った東大総合研究博物館の遠藤秀紀教授から誘いを受け、東大大学院理学系研究科で鳥類と並んで哺乳類の脳の研究を続けた。その成果は絶滅鳥類ペンギンモドキの脳形態に関する研究論文(昨年10月、国際古脊椎動物学会で発表)や哺乳類と鳥類の脳の体積と幅の関係を明らかにした論文(今年6月表彰、日本古生物学会論文賞)にまとめられた。

     「絶滅した動物の脳の進化を研究するうえで、化石だけでなく、現在生きている動物の脳を研究することは大きな意義がある」と河部さんは話す。昨年4月から県博物館に学芸員として勤務。退職した先輩学芸員の後を受け、今年4月下旬~6月下旬には企画展「ひだみの古生代の記憶~生命の進化と大量絶滅」を手がけた。

     「自分の専門以外の地質時代の勉強もできて楽しかった」と振り返る。しかし、博物館の教育普及活動も学芸員の重要な仕事。「仕事の両立を図りながら、生物の成長に伴う脳の進化という次の研究課題にチャレンジしたい」と意欲を燃やしていた。

    (大隅清司)

     松山市生まれ。同市内の小中高校を経て、愛媛大大学院理工学研究科、東大大学院理学系研究科を修了。小さな頃からピアノを習い、今もモーツァルトなどのクラシック音楽の演奏を楽しむ。愛媛大時代はジャズサークルに所属し、ジャズドラムを担当していた。岐阜県は初めて。愛媛の海辺育ちなので、海がないのがさみしいが、水量が豊富な川がたくさんあるのが気に入っている。関市内のマンションに独り暮らしで、8月末に愛媛大時代の同級生と結婚する予定。

    2014年08月24日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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