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    文殊にゅうとん(本巣市) 「再利用飼料」で育成

    • 自家製の飼料で文殊にゅうとんを育てる田中さん。肉質を左右する飼料の管理には細心の注意を払う
      自家製の飼料で文殊にゅうとんを育てる田中さん。肉質を左右する飼料の管理には細心の注意を払う
    • 甘い脂が特徴の文殊にゅうとん(手前)。リブロースの部位を使ったトンカツを手にする大洞さん(北方町で)
      甘い脂が特徴の文殊にゅうとん(手前)。リブロースの部位を使ったトンカツを手にする大洞さん(北方町で)

     豚舎脇に並ぶタンクをのぞくと、どろりとした液体が、プクプクと泡を立てていた。食品工場から出る野菜くずや売れ残りの麺などを細かく砕いて乳酸発酵させた、自家製の飼料という。

     2008年に創業した「本巣畜産」(本巣市文殊)では、トウモロコシなどの配合飼料の代わりに、この液状の飼料を食べさせ、時間をかけて豚を育てる。新しいという意味の「new」と、乳酸発酵の「乳」から名付けた豚は、さしと呼ばれる霜降りの量が多く、軟らかい肉質が特徴だ。12年には「銘柄ポーク好感度コンテスト」で、優良賞にも輝いた。

     「偶然の産物だった」と同社の田中孝次さん(48)は言う。かつて家族経営で養豚をしていた父が、産業廃棄物収集運搬会社を営む野々村清さん(現・本巣畜産社長)から、食品廃棄物を使った事業を持ちかけられたのが、きっかけだ。発酵過程で生成されるメタンガスの活用を目指したが、発酵させた食物残渣ざんさを豚に食べさせたところ、よい肉ができた。

     「あくまでもメインは食品リサイクル」。だから、飼料の原材料は一定でない。過去には、大量に入手したカボチャをたくさん食べさせ、「脂が黄色くなった」と苦情が来たことも。試行錯誤を重ね、安定した肉質を供給できるようになった。

     トンカツにして提供する北方町の「ちいさなとんかつやさん106(M)」のオーナーシェフ大洞直樹さん(39)は、「甘くておいしい脂身が魅力」と、その味に太鼓判を押す。黒豚やアグー豚などのブランド豚をカウンターで揚げる高級店で修業を積んだが、「気軽にトンカツを楽しんでほしい」と昨年10月、店を開いた。文殊にゅうとんを使うのは、「地産地消で、岐阜を元気にしたい」との思いもある。

     揚げたてのトンカツを、岩塩でいただいた。サクッと小気味よい音とともに、甘い脂が口中に広がり、何とも幸せな気分になった。(井沢夏穂)

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     メモ 「トキノ屋食品」(瑞穂市別府101の16、(電)058・326・5566)などで販売。取扱店は本巣市や近郊に数多くあり、「ちいさなとんかつやさん106(M)」(北方町朝日町1の91)では、文殊にゅうとんのロースカツ定食が1580円。ヒレカツ(種類は日によって異なる)とコロッケ、エビフライの106セット(1200円)も人気。水曜定休。

    2015年11月29日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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