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    競技の魅力を若い世代へ伝える 川瀬健男さん(67)「かるた道」を小説に

    • 競技かるたの面白さと奥深さを知ってもらおうと小説を出版した川瀬建男さん
      競技かるたの面白さと奥深さを知ってもらおうと小説を出版した川瀬建男さん

     高校2年の時、小倉百人一首の札を取り合う競技かるたの校内大会で優勝し、記憶力、集中力、瞬発力をかけて闘志をぶつけ合う「畳の上の格闘技」に魅せられた。受験勉強の傍らのめりこみ、金沢市での学生時代も、地元かるたサークルに所属。めきめきと頭角を現し、最高レベルのA級で活躍すると、素材メーカーに就職後、23歳で名人戦に勝利して頂点を極めた。

     かるたと向き合って半世紀。現在は、地元の大垣市で毎週日曜、中高生や大学生を指導する。「住の江の 岸による波 よるさへや……」。上の句の最初の1音が発せられた瞬間、向かい合った対戦者と手が交錯し、札が飛んだ。格闘する姿勢は健在だ。「若い世代を鼓舞しよう」と今年6月には、かるたを題材にした小説「夢乃通い路」を上梓じょうしした。

     6年前、「かるた人生の総決算として、何か残さないといけない」と、執筆を思い立った。イメージはあった。大学時代、試合に負けた帰りの電車で「宮本武蔵」(吉川英治著)を読んでひらめいた戦術だ。

     かるた競技は片手しか使えないが、武蔵が長剣と短剣を使い分けたように、自陣に並べる25枚の札を二つに分類することで“二刀流”を取り入れた。下の句を特定できる、上の句の出だしの「決まり字」の字数に着目。1~2字の札と、3字以上の札とを分けて並べる「川瀬流」を確立してから、一気に強くなれたという。

     小説は、一部自分をモデルにした主人公から指導を受ける女子中学生「夢乃」が“二刀流”で競技者として成長。「一心不乱に無我の境地に達する『かるた道』の究極の姿を追い求める」という筋立てだ。

     競技かるたを題材にしたマンガ「ちはやふる」とその映画化で、競技かるたは若い世代で一躍人気となり、少子化にもかかわらず、競技人口は増えている。「小説には、思いをすべて書いた。かるたをする人の底辺が広がっているいま、私の夢を一人でも多くの若い人たちに託したい」と続編の構想も抱いて、夢を膨らませている。(湯山誠)

     ◇大垣市出身。大垣北高校在学中にかるたの魅力にとりつかれ、金沢大時代から名人戦に挑戦し、23歳で名人位。3連覇した後、復位し、通算4期就いた。現在は、全日本かるた協会・競技かるた部副部長。名人戦などの審判長も務める。「夢乃通い路」(337ページ、税込み1800円)は、若い人たちに夢を託す思いから付けた。

    2016年08月29日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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