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    ゴールボール女子日本代表コーチ・杉山沙弥香さん

    • ゴールボール女子日本代表の杉山沙弥香コーチ
      ゴールボール女子日本代表の杉山沙弥香コーチ

     -選手の目になり助言-

     「目隠しをすれば、障害者も健常者も同じ条件でプレーできるのが魅力。もっと競技を広めたい」と語る。

     3人1チームで鈴の入った球をゴール(幅9メートル、高さ1・3メートル)に向けて転がし、得点を競うゴールボール。選手は、視力の程度に関係なく、ゴーグル型の目隠し「アイシェード」を付け、全く見えない状態で競技する。

     出会いは、大学生の時に参加したボランティアだった。自身に視覚障害はない。「見えない状態で、コート内を自由に動く選手たちを見て驚いた」。次第にのめり込み、レフェリーの資格を取得。女子選手の練習相手としてプレーをしていた時期もある。

     女子日本代表がロンドン・パラリンピックで金メダルを獲得した翌年の2013年、現在の市川喬一・ヘッドコーチに誘われ、「力になれるなら」と就任した。世界の注目を浴びた金メダリスト相手に、何を指導できるか――。最初は戸惑ったが、「目で見た事実を言葉で伝えることはできる」と、投球のコースやフォームなどを選手に伝えた。

     県立岐阜本巣特別支援学校(岐阜市)の教諭として平日は教壇に立ち、週末は代表の練習に参加した。だが、なかなか世界で勝てなかった。ルール変更も相次いだ。わざと音を出して、相手に動きを分からせないようにする「フェイク」の方法が難しくなり、同じ選手が投球できる回数の制限はなくなった。そんなときはレフェリーの視点に立って、選手と理解を共有した。

     9月に挑んだリオデジャネイロ・パラリンピック。現地では、食事も作り、和食が恋しくなる選手の栄養面もサポートした。しかし、試合環境は過酷だった。声援や鳴り物を控えるのが観戦のマナーだが、特に地元のブラジル戦では相手のプレーで会場が沸き、球の鈴の音や仲間の声など、プレーで大切な情報がかき消された。「世界最高の姿勢で守る」と自負する、きれいなディフェンスも失点を重ねた。準々決勝で中国に敗れた。

     先月30日、学校の体育館で、「世界一を決める大会に行ってきました」と生徒たちに報告した。映像を見せながらルールを説明し、コーチとして戦ったことを伝えると、大きな拍手を浴びた。

     「本当はリオまで、と思っていたけど、悔しかったので、東京パラリンピックで、もう一度日本のゴールボールを世界一に導きたい」。気持ちを新たに、4年後に向けた戦いは始まった。(大井雅之)

     

    ◆◆北方町在住。33歳。岐阜大教育学部を卒業して特別支援学校教諭の道に進んだ。現在は中学部のクラスの副担任を務める。「ペースはゆっくりかもしれないけど、子どもたちの成長に出会えるのが日々の喜び」

    2016年10月03日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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