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    全国警察剣道選手権大会で準優勝 県警機動隊巡査部長 野田了さん(29)

    ◆心身鍛え岐阜に恩返し

     高々と竹刀を掲げ、素振りを重ねる姿は精悍せいかんだ。上段の構えから片手で打ち込む「面」を得意とする。強い踏み込みで1メートル74、85キロの体から繰り出す竹刀は横へ大きくしなり、「軌道が見えない」と、対戦相手に言わしめたこともある。

     今年9月に行われた警察官の剣道日本一を決める大会も、この得意技で勝ち上がり、県勢としては歴代最高位の準優勝に輝いた。

     長崎県諫早市出身。4人きょうだいの末っ子として生まれ、「兄に憧れて」小学校から剣道を始めた。高校生で全国8強に入ると、岐阜大剣道部の監督の目にとまった。「国立大に進学し、親孝行したい」と考えていたこともあり、岐阜で剣道を続ける道を選んだ。

     大学時代は、剣道に打ち込みながら、教育を学んだ。「将来は学校の先生になり、剣道を教えたい」と考えたが、3年の時、インカレでベスト8に入り、「もう少し選手として戦えるんじゃないか」と欲が出てきた。地元開催の「ぎふ清流国体」を2012年に控え、選手強化を進める県警から「うちに来ないか」と声をかけられ、09年に警察官に。国体では、次鋒じほうとして県勢初の優勝に貢献した。

     毎年4月から10月は、剣道の特別訓練員として鍛錬に明け暮れるが、それ以外の期間は、警備部機動隊として訓練を重ねる。剣道で鍛えた体をいかし、東日本大震災では被災地救援に活躍。15年には戦後最悪の噴火災害のあった御嶽山で行方不明者の再捜索の第1陣に加わった。

     視界が限られる中、雨でぬかるむ地面を一歩一歩踏みしめながら登った。一歩踏み違えれば、命を落としかねない――。恐怖心がよぎったが、「『絶対にやりとげる』という気持ちは、剣道も警察の任務も同じ」と気持ちを奮い立たせた。

     第1陣では仲間の隊員が噴火から約10か月ぶりに山頂近くで行方不明者を発見。「剣道で心身を鍛えていたからこそ、強い気持ちで任務に当たることができた」と胸を張る。

     11月3日には、警察内外の強豪が集う全日本剣道選手権大会に、県勢としては60年ぶりとなる優勝を目指して挑む。「骨をうずめるつもりの第二の古里に、恩返しをしたい」。竹刀を振る腕に力を込めた。(古和康行)

    ◇岐阜市で、妻と1歳の長女と3人暮らし。趣味は釣りで、休みの日は隣県で海釣りも楽しむという。座右の銘は「泰然自若」。

    2016年10月31日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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