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    裂固の名で18歳以下のラップバトルで優勝 塚田泰斗さん(19)

    • ラッパーらしいポーズをとる「裂固」こと塚田さん(岐阜市内のクラブで)
      ラッパーらしいポーズをとる「裂固」こと塚田さん(岐阜市内のクラブで)

    ◆ひたむきに歌詞紡ぐ

     ヒップホップ音楽の盛んな岐阜市・柳ヶ瀬の街で活動するラッパーで今、最も人気のあるパフォーマーだ。昨夏に発売したCDは売れ行き好調、ツイッターのフォロワー数は5万人を超え、最近は東京でも仕事が入る。「スケジュールがいっぱい」と、無邪気に笑う。

     ♪さみしくないはずないマイライフ

     ♪顔をうずめた枕 自分を見つめ閉じたまぶた

     しっかりと言葉を選び、不安や悩みを素直に歌詞に落とし込む。私小説のような歌詞の世界が、多くの同世代の共感を呼んでいる。

     高校進学を、経済事情などで諦めた。学校からは奨学金制度の利用も勧められたが、「働いて金を稼ぎたい」と意地を張った。だが、就職活動は思うに任せず、とりあえず卒業式後、近くの飲食店でアルバイトを始めた。「この先、自分はどうなっていくんだろう」。進学した友人たちが、まぶしかった。

     その頃、ラップと出会った。

     友人に連れられて足を踏み入れた、柳ヶ瀬のクラブ。約20分間、感情むき出しで言葉を紡ぐライブを目にして、気の迷いが吹っ飛んだ。ラッパーを志した。

     アルバイト収入を少しためてはクラブ代につぎ込み、むさぼるように音楽を聴いた。多くの本を読んでボキャブラリーを増やし、歌詞を書いてマイクを握った。「成功できなかったら、自分には何もない」。最初のうちは、ステージに立っても、まともに聴いてくれる人は少なかったが、めげずに出演し続けた。

     腕前が上がってきたところで「ラップバトル」が流行した。音楽に合わせて即興でラップを披露し合って技量を競う対戦型のイベントだ。大阪府内で昨年4月に開かれた18歳以下の全国大会に出場。持ち前の表現力と、歯切れのいい早口を生かし、的確な「DIS(ディス=批判)」を相手に浴びせた。決勝では2000人以上の観客を熱狂させ、審査員から「正統派のラップ。まさに完璧」と絶賛された。マイクを握って3年で、出場800人以上の頂点に立った。

     優勝を機に仕事が増え、ラッパー・裂固れっことしての収入がアルバイト収入を超えた。「音楽で飯を食う」という目標が、実現に近づいたと感じている。(古和康行)

    ◇大垣市在住。2016年7月にCDデビュー。「ラップでは韻を踏むことにもこだわるが、日本語本来の意味を大事にしたい」と言葉へのこだわりを持つ。趣味は読書。今年の夏は、アルバムを発表する予定だという。

    2017年03月06日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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