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    獣害対策現場に助言 被害抑止を研究する 森元萌弥 33

    • 動物の骨を手にする森元さん
      動物の骨を手にする森元さん

     クマ、イノシシ、シカ、カラス――。県内各地には、様々な鳥獣が生息している。そんな動物たちが、自然や人間にもたらす被害の抑止策を考えるエキスパートだ。

     「自分は(動物治療が専門の)獣医学を学んでいましたが、いつの間にか動物を効率よく減らす方法を研究していますから、評判が良くないかもしれないですね」と笑う。

     少年時代から野生動物に関心があり、2004年に岐阜大応用生物科学部に進学。野生動物医学研究室に配属され、アライグマとの出会いがその後の進路を決めた。

     アニメ「あらいぐまラスカル」で人気を集めたこの外来動物は、ペットとして日本に持ち込まれたが、捨てられるなどして野生化し、社会問題になった。農業被害などを引き起こし、害獣として殺処分されていた。

     人間のエゴがもたらした鳥獣被害の実態を知ってショックを受け、生態ではなく、管理方法に関心が向いた。捕獲されたアライグマの年齢構成や繁殖特性を調査し、被害抑止の研究に没頭。成果を卒業論文にまとめた。

     その過程で、課題も見えてきた。対策を提言にまとめても、被害を受けている農家への情報伝達の仕組みが十分に整っていない。「もっと、こうすればいいのに、と思うことが多かった」

     卒業後は鳥獣被害対策の専門家としての道を歩み、10年に同大野生動物管理学研究センターに籍を移した。そこで取り組んだのが、県から依頼を受けたツキノワグマの被害対策だった。

     当時、クマが大量出没する年があり、09年には高山市の乗鞍岳のバスターミナルにクマが現れ、9人が襲われる事故が起きていた。

     対策を立案し、各市町村向けに研修会を行ったり、対応マニュアルの整備に努めたりした。蓄積されたデータを分析し、「子熊を捕獲すれば母熊が興奮するから、むやみな捕獲はかえって危険だ」とする主張も展開。クマに対する理解が高まったと、手応えを感じた。

     他方で、研究者の声が被害現場に届きにくいという問題意識も依然としてあり、今年の春、長年所属した岐阜大学を飛び出した。「大学、行政、現場をつなぐコーディネーターがいない。それならば自分が」という思いからだ。過去の研究を整理しつつ、秋から鳥獣被害対策のコンサルティングなどを担うNPO法人の役員になり、活動に本腰を入れるつもりだ。

     「鳥獣被害は、システムと人の側にほとんど問題がある。被害を防ぐ効率的な仕組みを作りたい」

    (茶山瞭)

     鹿児島県西之表市出身。岐阜大野生動物管理学研究センター特任助教などを経て、現在は鳥獣被害対策のコンサルティングなどを行うNPO法人「Wildlife Service Japan」会員。獣医師資格を取得しているが、「ペーパーです。仕事上、あまり役立つことはありません」。趣味は釣り。岐阜市内で一人暮らし。

    2017年08月07日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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