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    麺者侍(桐生市)

    魚介だし 広がる甘み・香り

    • 澄んだスープが特徴の塩ラーメン
      澄んだスープが特徴の塩ラーメン
    • 店主の   山川誠人さん
      店主の   山川誠人さん

     和風な建物が多く、織物街の風情が感じられる桐生市の本町通り。ここから路地を1本入ると、「侍」という赤い看板とともに、「昭和透明系旨(うま)こくラーメン」という文字が目に飛び込んできた。店内からは、和風だしの香りがあふれてくる。どんな味かと想像をかき立てられながら、のれんをくぐった。

     店内を見回すと、入り口脇の黒板に「極上しめサバ」「天然あじ刺し身」「まぐろひっかき」などのメニューが。「居酒屋と間違えたか」と思い、店主の山川誠人さん(40)に尋ねると、「うちは魚でだしをとってるから、つまみも魚が合うんですよ」と教えてくれた。

     親戚が東京・築地で魚の仕入れをしている関係で、スープに使うものも含めて新鮮な魚が手に入るという。

     それならばと、魚介だしの味が一番感じられるという塩ラーメンを注文。間もなく、透き通ったスープのラーメンが運ばれてきた。見た目はのりとチャーシューが入った普通のラーメンといった印象だが、スープを一口飲むと、だしの甘みが香りとともに広がり、全身に染み渡るような気がした。

     だしに使っているのは、マダイ、ヒラメ、マグロなどの骨。8時間ほどかけてとった透明なだしをベースに、鶏ガラスープと、高崎市の地酒「大盃」を使った塩だれを加えて作っている。

     チャーシューは自家製のたれにつけてオーブンで調理。定番トッピング「味玉」も、昆布じょうゆを含ませて半熟に仕上げるという、手の込みようだ。

     「映画『三丁目の夕日』に出てくるような、ラーメンをイメージしたんです」と、山川さん。高齢者が多い桐生で、「体に優しく、懐かしさを感じさせるラーメンを作りたい」との思いから試行錯誤を重ね、20歳代の時に修業した日本料理の技法をラーメンに用いた。

     当初は、人通りが少なくなった繁華街に出店することへためらいもあった。だが、「街の活性化のためにも外から客を呼びたい。人を集められる店になればいい」と、地元の桐生市で、昨年12月に開店した。今では、高齢者に加え、地元の学生も集まり、市外からの客で行列ができる日も増えてきたという。

     故郷の活性化のため、1杯のラーメンを通じて戦う姿は正に侍のよう。「麺者侍」の店名に偽りはないと感じた。

    (宮下洋介)

     桐生市本町5の49。塩ラーメン(630円)、正油ラーメン(600円)、味噌ラーメン(700円)、味玉(100円)、自家製餃子(380円)など。営業は午後7時~翌日午前2時。スープがなくなり次第終了。日曜定休。090・8308・3115。

    2013年10月06日 01時40分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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