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    <12>識者2氏  インタビュー

    • 鈴木江理子・国士舘大准教授
      鈴木江理子・国士舘大准教授
    • 藤井良昭会長
      藤井良昭会長

     人口減少と高齢化の進展が社会を大きく変えている。雇用の現場や地域では高齢者の社会参加が求められ、外国人技能実習生の存在感も高まっている。現状をどう考え、課題をどう解決すべきか。国士舘大の鈴木江理子准教授に外国人技能実習制度の現状を、県社会保険労務士会の藤井良昭会長に高齢者の社会参加や生きがいをそれぞれ聞いた。

     すずき・えりこ 1965年生まれ。一橋大大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。2010年4月より現職。移民政策学会理事、認定NPO法人多文化共生センター東京理事等を兼務。

     ――現行の外国人技能実習制度をどう考えるか。

     「1988年に閣議決定された第6次雇用対策基本計画には、外国人の単純労働者の受け入れについては慎重に対応することが盛り込まれた。その建前の背後で、日系南米人や技能実習生が単純労働者の供給源として存続している。技能実習制度の目的は国際貢献のはずだが、実態は安い労働力を確保するために利用されている。多くの人はその事実を知っている。ゆがんだ形で制度が維持されている」

     「制度維持の背景には、受け入れ企業や地域の強い要請がある。コスト削減が求められる中、この制度を長期的に利用してきた受け入れ側は、制度なくしては成り立たない形に自分たちの構造を変えてしまった」

     ――制度のゆがみはどういった弊害を引き起こすのか。

     「労働市場において需要と供給によって商品の価格が決まることは仕方がない。ただ、労働者は人間だ。他の商品と違って様々な保護が必要になるが、この制度では技能実習生の権利が守られない。技能実習生には待遇に不満を言ったり転職したりする自由がない。物言わぬ労働者だ。家族を呼び寄せられず、期間を延長して仕事を続ける方法がないので日本での将来設計ができず、労働力としての価値の高まりも期待できない」

     「企業や地域にもデメリットが大きい。技能実習生によって安い労働力が確保できるので、その職種の賃金は上がらなくなる。若者はその地域で働かずに外に出てしまうので、地域は衰退に向かう」

     ――制度は今後、どうなるか。

     「技能実習制度が最初からなければ、様々な工夫があったかもしれない。ただ、制度は既に根付いてしまった。日本だけでなく、送り出し国側でもビジネスとして成立している。誰もが納得できる改善策を今から考えるのは極めて難しい。市民団体や弁護士が制度の問題点を指摘しても、法律を作る議員の選挙区は、制度を必要としている場合が多い。議員自身は制度の問題点を理解しても、実際に廃止の方向には進まない」

     「人口減少が進む中、日本に在留する外国人は、住民として様々な形で社会の一端を担うことになる。制度を改善するのであれば、技能実習生を閉じこめて一般の目には見えないような形で管理するのをやめるべきだ。日本での定住や家族の呼び寄せが可能な道を開けば、地域に様々な交流が生まれて学校や商店も活気を取り戻す。治安悪化や社会コストを心配する人もいるが、外国人の増加と犯罪の増加が無関係なことは統計上明らかだ。教育にかかる費用も将来への投資と考えれば損ではない」

     ふじい・よしあき 1938年生まれ。69年社会保険労務士資格取得、渋川市に藤井社会保険労務管理事務所開業。99~2003年に県社会保険労務士会長を務め、05年5月から再び現職。11年6月から全国社会保険労務士会連合会副会長も務める。

     ――改正高年齢者雇用安定法の企業への影響は。

     「大企業の場合は従業員の労働条件が良いので、継続雇用する従業員の生活に支障が出ないよう給料設定を配慮している。40~50歳代を中心に平均賃金のカーブの上昇を抑えて賃金原資を確保するのが一般的だ。一方、中小企業の場合は、賃金の年齢カーブが大企業に比べて緩やかで継続雇用後の給料格差も小さい。70歳代などの高年齢層の従業員も元々多く雇っている。法改正で慌てている企業は少ないようだ」

     「法改正で高齢者の雇用を維持するために若年層の雇用機会が減ることが懸念されているが、少なくとも中小企業には大きな影響はない。少子高齢化が進む中、募集をしても新卒などの若者は集まりにくいのが中小企業の現状だからだ」

     「ただ、4月施行の改正労働契約法との関わりは注視する必要がある。契約社員など働く期間の定まっている有期雇用の労働者が5年を超えて働く場合、本人の希望で無期雇用に転換できるようになった。定年後に継続雇用される労働者の多くは有期契約なので、5年後に大きな問題となる可能性がある」

     ――高齢者に求められる役割は。

     「豊富な人生経験を生かした後進の指導が求められる。製造業で言えば、高齢者はものづくりの楽しさ、仕事の喜びを教えられる存在だ。若年層への技術承継が進んでいない企業ならば、その指導は企業の存続にかかわるほど重要だ」

     「一方で、高齢者は若者のような無理が利かない。休暇や労働時間に配慮する必要がある。高齢者の活用策は各企業の知恵が求められる。教科書的な答えはない。例えば、岐阜県中津川市の金属加工メーカーは、通常なら休みとなる土日も工場を稼働させるため、60歳以上の従業員を採用して働いてもらっている。ユニークな取り組みとして全国で注目されている」

     ――法改正が個人の生き方に与える影響は。

     「従業員は長い期間働くために、労働市場での価値を高める努力が求められる。高いスキルを持つ労働者を会社は手放そうとはしないし、転職することになっても仕事を見つけやすくなるからだ。健康管理も一層大切になる。企業は福利厚生の充実という観点から、40~50歳代の従業員に心構えなどの準備をさせるべきだ」

     「会社で働くだけでなく、ボランティアやNPOに参加して社会貢献をしたい高齢者も増えている。背景には核家族化や地域のつながりが薄くなったことがある。現代社会は会社生活を終えると一人きりで孤独に陥る恐れがある。高齢者の生き方が多様化する中で、限られた人生をどうエンジョイするかは個々の判断に委ねられる」

    2013年05月25日 23時39分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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