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    県予算 子どもの貧困対策重点

     ◇新年度当初案 9538億円

     県は13日、2018年度当初予算案を発表した。一般会計は17年度当初比2・5%減の9538億円。2月補正予算で国の補正予算を活用するなど実質的に131億円増の予算編成となる。仕事も暮らしも充実させる「欲張りなライフスタイル」の実現を引き続き施策の柱に据え、子どもの貧困対策や、AI(人工知能)などを活用した生産性向上などに重点的に配分した。予算案は、16日開会の県議会定例会に提案される。

       ■歳入

     堅調な県経済を背景に給与所得が増加する見込みで、個人県民税は39億円増加。広島市への税源移譲(207億円)の影響を除くと、県税収入全体は15億円増の3313億円。収入増などを受け、地方交付税は1・4%減の1562億円。

     「学びの変革」を進めるための中高一貫校「広島叡智えいち学園」整備などにより、借金にあたる県債の新規発行額は2・9%増の1180億円だが、臨時財政対策債などを除いた実質的な県債残高は203億円減と、9年連続減少し、1兆2079億円になる見込み。

     不足分は、財政調整基金を112億円切り崩して対応し、18年度末の基金残高は308億円になる見込み。

       ■歳出

     「欲張りなライフスタイル」実現に向け、主要事業には前年度比52億円増の448億円を配分した。

     借金を返済するための公債費は2・3%減の1519億円となるなど、人件費、扶助費を合わせた義務的経費は1%減の4205億円。高齢化の進展の影響などから社会保障関係費は0・5%増の1309億円。

     広島叡智学園整備や、河川整備など防災対策強化による公共事業の増加により、投資的経費は6・9%増の991億円。

     優先順位の低い59事業を休・廃止し、4億円を削減した。

     ◇児童生徒に朝食提供

     県は新年度、家庭で朝食を食べてこない子どもたちに、朝食を提供するモデル事業に取り組む。特に、貧困家庭の子どもたちが、朝食を食べていない実態が調査により明らかになったことを受けた対策で、県内3か所で試行的に行う。同様の取り組みは、他県でも実施されているが、中には中止に追い込まれたケースもあり、進め方には工夫が必要になりそうだ。

     県によると、今年度の調査で、小学5年、中学2年がいる県内の家庭の約4分の1が低所得や家計の逼迫ひっぱくなどの「周辺層」か、複数に該当する「困窮層」で、いずれにも該当しない層に比べ、「朝食をいつも食べない」、「食べない方が多い」と回答した児童生徒が約2~3倍多いことがわかった。

     国の調査でも、毎日、朝食を食べる児童生徒ほど、学力調査の平均正答率が高く、全国体力テストでも合計点が高かった。

     県は関連予算として新年度当初予算案に4000万円を計上。今後、事業に携わる団体を募り、県が食材費や人件費などを負担する。朝食を食べるようになったことによる子どもたちの生活態度や勉強意欲の変化を調べる。県の補助なしに事業を続けるためには、どのような仕組みが必要かも検証する。

     福岡市では市内の一部の小中学校が、食べるのには問題はないが、販売が困難になった食品を引き取る「フードバンク」などと協力。クロワッサンや牛乳などを提供してもらい、子どもたちに無償で提供する取り組みをしている。

     一方、那覇市では16年度、ボランティア団体に補助金を出し、登校前に子どもたちに朝食を提供しようとした。しかし、「貧困対策」が全面に出たため、子どもたちや保護者らの間で、参加することに抵抗感が生じたこともあり、半年程度で中止になった。

     県こども家庭課の徳光重雄課長は「地域で子どもたちを見守る態勢づくりのきっかけにしたい」と話す。

     ◇子育て支援 3市町に新拠点

     妊娠期から相談にのり、子育てを切れ目なく支援する「ひろしま版ネウボラ」の構築事業に、1億6500万円を計上した。18年度は新たに三次市、府中町、北広島町の3市町で子育て・見守り拠点を設置。17年度の3市町と合わせ、計6市町で子育て支援にあたる。

     ネウボラは、フィンランド語で「助言の場」の意味。地域の拠点に保健師が常駐し、妊娠、出産から子育てまでの相談や支援を継続して行う仕組み。

     昨年10月に本格稼働した海田町は2か所で展開。同町南つくも町の「ひまわりプラザ」では、子どもの月齢別に6種類の教室を開くほか、母子手帳を発行し、助産師による妊婦体操教室や母乳育児講座も行う。

     生後3~5か月の第1子の母親を対象にした「ままたいむ」。今月6日の教室には6組が参加し、職員の歌声と手の動作に合わせながら、ママたちが赤ちゃんの手足をゆっくり動かした。

     テーマは「私の一日」。1枚の紙にそれぞれ、ママと赤ちゃんの一日の流れを記入し、気になることを話し合う。「夜なかなか寝てくれなくて」「自分の時間が作れない」などの声に、職員が「おひさまのリズムにまず、少しずつ合わせてみて」と優しく助言。ママたちに、ほっとしたような笑顔が広がった。

     島本嘉代・ネウボラ担当所長は「子どもの成長に応じて出てくる、母親の不安をどう軽減するか、継続したサポートが大事」と話す。

     県は、新たに始める3市町で、少子化や過疎化が進む中山間地域のモデルを作り、21年度以降に全市町に広げたい考え。6市町で子どもの一時預かりなど母親の育児負担を軽減するサービスも実施するほか、ネウボラ構築に必要な保健師、助産師、保育士など専門職の確保にも力を入れる。(渡辺彩香)

    2018年02月14日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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