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    車いすの詩人 世に訴え

    • 12作目の詩集「ざまくれ」を手にする岸本康弘さん(宝塚市で)
      12作目の詩集「ざまくれ」を手にする岸本康弘さん(宝塚市で)

     ◇戦争、災害、貧困47編に

     ◇宝塚の岸本さん 14年ぶり、率直な思い記す

     宝塚市在住の車いすの詩人、岸本康弘さん(79)が14年ぶりとなる詩集「ざまくれ」(二十一世紀社)を出版した。貧困で苦しむネパールの子どもたちの学習支援を続けて20年以上。収めた47編の作品には自身が向き合ってきた障害や、命、貧しさについての思いをしたためた。「人々の心に少しでも響いてくれたら幸いだ」という。(長野祐気)

     岸本さんは尼崎市出身。幼い時の高熱が原因で手足にまひが残り、20年ほど前からは車いすを使って生活する。学校に通えなかったが独学を続け、通信制の高校、大学と卒業後、印刷会社を営んで仕事に励み、世界各地を旅して詩を作り続けてきた。

     1990年代半ばにネパールを訪れた際、貧困で学べず文字も読めない子どもたちの現状を憂え、以来、私財や寄付金を投じて学校を設立したり、通学支援を行ったりしてきた。

     今回で詩集は12作目となり、戦争や災害、貧困などをテーマに、自身の経験に基づいた率直な思いを記した。岸本さんは「題名の『ざまくれ』は、情けないなどを表す地方の方言。ざまくれな者の立場から、世の中に訴えたい」と語る。

     障害と貧困に苦しんだ少年時代について、<わずかな書物から必死に生と対峙たいじし かすかな光を探して 明日を創り出す闘いを始めようとしていた>と振り返る。阪神大震災で生かされた命を役立てようと、ネパールでの支援にあたった日々には、<死に直面したとき 新たな己れが見える 不思議に見える 第二の人生が一瞬見える思いだ そしてそれを生きる苦闘も見えてくるのだ>とつづった。

     加齢とともに体力が衰え、詩作のペースは落ちてきたというが、詩集のうち20作品ほどはこの1年で書き上げた。「体のうずきを抱えながらも、多くの人に支えられ、この年齢まで続けてこられた喜びが大きい」と話す。

     詩集は1500円(税込み)。問い合わせは、きしもと学舎の会事務局(06・6683・8685)。

    2017年03月20日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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