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    「酒粕のアイス」定番に

    • 乳牛を放牧している牧場で、自社商品を手にする佐藤さん(宮古市田老で)
      乳牛を放牧している牧場で、自社商品を手にする佐藤さん(宮古市田老で)

    ◇宮古の酪農家佐藤さん 「復興した田老で売りたい」

     宮古市の酒造業者の酒かすを使った「酒かすのアイス」がおいしいと評判だ。生産する同市田老地区の酪農家、佐藤力さん(43)は「宮古の定番商品にしたい」と夢を語る。(阿部明霞)

     商品開発のきっかけは2012年冬、宮古市鍬ヶ崎地区であった復興支援イベントだった。寒そうにしている親子連れの来場者を見て、自社のホットミルクに酒かすを溶かして提供してみた。甘酒のイメージだ。「体が温まっておいしい」と予想以上の好評を博した。「宮古のものを使ってみんなに喜ばれるものを作りたい」と考えるようになり、思い付いたのが「酒粕のアイス」だ。

     同市唯一の酒造業者「菱屋酒造店」に協力を求めた。同店は震災による津波で全壊したが、11年11月に酒造りを再開した。「震災に負けずに『復活』した同店の姿に感動していたし、地元の被災企業を少しでも応援したかった」。同店も快く酒かすの提供に応じてくれたという。

     アイスは以前から製造していたが、酒かすの風味を生かすのに苦労した。酒かすの量を増やせば、香りは芳醇ほうじゅんになるが、度数が上がってしまう。「酒好きの大人に限らず、子供も楽しんでもらえることが大切だと思っていました」

     試行錯誤を重ね、少量でも酒かすの風味が残る大吟醸を使い、度数を0・3%未満に抑えることに成功。口に含むと酒の甘い香りがふわーと広がるアイスが完成した。昨年5月から、道の駅たろうなどで販売を開始。「さっぱりしていておいしい」と口コミで評判が広がり、今年は昨年の約3倍売れているという。

     酪農を始めたのは約10年前。新潟県から引っ越してきた際、ハローワークで紹介された。会社勤めなどで牛に触ったこともなかったが、「緑に囲まれてのんびりと牛を見つめられる仕事が予想外に自分に合っていた」と笑う。

     07年に独立し、田老の山あい約20ヘクタールに乳牛17頭を放牧しながら「しあわせ乳業」を経営する。震災では、高台の工場と山間部の牧場は無事だったが、田老中心部の倉庫を流失した。取引先などから「復活を待っている」との応援を受け、約1か月で出荷を再開した。

     いまの夢は、復興した田老の中心部でアイスを売ること。ソフトクリームの販売もしたい。今年からチーズの生産にも取り組む。「宮古は第二のふるさと。沿岸酪農という宮古の新しい一面を担い、地域を活気づけたい」

     漁業で知られる田老で、これからも酪農を続けるつもりだ。

     酒粕アイスは、しあわせ乳業のオンラインショップ(http://shiawasemilk.cart.fc2.com/)でも購入できる。問い合わせは(0193・87・5959)。

    2014年09月27日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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