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    復興住宅 目立つ空き家

    被災者意向 入居前に変化

    • 4月から入居が始まった野田村の復興住宅「門前小路第1団地」。現在も1戸が空き部屋のままだ(18日、野田村野田で)
      4月から入居が始まった野田村の復興住宅「門前小路第1団地」。現在も1戸が空き部屋のままだ(18日、野田村野田で)

     東日本大震災の被災地で、被災者向けの災害公営住宅(復興住宅)の整備が進められている。被災者や自治体待望の入居も始まったが、復興住宅の中には空き家や空き部屋が見られ、予定されていた整備戸数を見直す動きも出てきた。仮設住宅を離れる被災者は新たな不安や戸惑いを抱えている。住まいの移行期の現状を探った。

          ◇

     津波で38人が亡くなった野田村。海岸線から約1キロ離れた田園地帯に、白と茶色を基調にした木造2階4棟が整然と並ぶ。新築として県内初めてとなる復興住宅「門前小路第1団地」だ。

     入居開始は今年4月。村内の自宅を流された伊藤応子さん(83)は夫と入居した。間取りは3DK(約76平方メートル)。無料の仮設住宅と違って家賃がかかるものの、壁に防音設備も施され、暮らしは格段に快適となった。

     「先のことは分からないけれど、この先も落ち着いて暮らせる家があるのはうれしいね」

     募集開始当初、入居者は全8戸のうち4戸にとどまり、村は追加募集した。現在、1戸が空きのままだ。

     行政も被災者も、完成を心待ちにした復興住宅だが、入居の段階を迎え、定員割れが相次いでいる。5月23日に復興住宅計15戸が完成した岩泉町でも入居決定は12戸で、残り3戸を追加募集している。

     復興住宅の建設戸数は、各市町村が被災者の意向調査を行い、その結果に基づいて決めている。しかし、計画が固まってから入居できるまでに1年以上かかることもある。自治体の担当者は、「この間に被災者の家庭事情や経済状況は変化している」とみる。

     政府が今年4月に仮設住宅の入居期間を1年再延長したこと、市町村から自力再建の支援策が次々と打ち出されることも意向の変化に拍車をかけている。

     野田村では、昨年7月の意向調査で村内に計約130戸の復興住宅を建設する予定だったが、自力再建の希望者の増加で120戸にし、今後さらに減らす方針だ。

     村復興むらづくり推進課の松本良治課長は「景気の動向や消費増税、さらに防潮堤ができて、被災者の意向が『やはり低地に再建しようか』などと、さらに変わるだろう。維持管理にかかる村の負担や無駄を考えると、余分に建てるのは避けたい」とため息をつく。

     釜石市も意向調査に沿って復興住宅の建設を進めている。しかし、市街地にある上中島地区の団地20戸には100世帯が入居を希望した一方、郊外の花露辺地区(13戸)や箱崎・白浜地区(11戸)はいずれも定員割れだ。

     自宅を津波で流され、仮設住宅で一人暮らしを続けてきた晴山タカさん(87)は、上中島地区の団地への入居が決まり、引っ越し作業も終えた。「ようやく落ち着ける“ついの住み家”にたどり着けました。ここは街中なのでスーパーも近くにあって便利です」と笑顔を見せた。

     市都市計画課の竹沢隆課長は「復興住宅を市街地に集中的に建てたくても土地が無い。その上、計画に大きな変更が出ると、土地取得の手続きをやり直して完成が遅れてしまう」と嘆く。今夏にも再び意向調査し、建設戸数を再調整する。

     県と市町村が整備を計画している復興住宅は計5970戸。建設戸数と入居戸数のミスマッチが顕在化してきたが、「具体的対策は取れない」(県建築住宅課)のが現状だ。

    ■「転用事前に考えて」

     震災後、釜石市で被災者へのアンケート調査を実施している神戸大の平山洋介教授(住宅政策)の話「行政は『被災者の意向は変わって当たり前』との前提に立つしかない。将来的には高齢者施設として活用するなど、転用方法を今から考えておくべきだ」

    2013年06月27日 01時07分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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