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    学びの場で〈上〉

    揺れる小学3、4年

     子どもたちの暮らしを大きく変えた東日本大震災。2年半がたち、被災地では校舎の新築や改修、統廃合計画などが進む中、子どもたちの心のケア、就学の支援活動も続けられている。学校を通して、被災地の子どもたちの今を見つめる。

     

     「いろんな子を見てきたが、今の状況は経験がない。こんなに落ち着かない理由は、やっぱり震災の影響なのだろう」

     沿岸部の小学校の校長は、戸惑いを隠せない。授業中に教室を抜け出す。休み時間が終わっても戻ってこない。ささいな理由でけんかになる――。不安定な子どもたちの中で、特に気になるのは3、4年生だ。

     小学校中学年は「ギャング・エイジ」と呼ばれ、遊びやけんかなどを通して、決まった仲間との関係を深める年齢とされる。だが休み時間に集団で遊ぶ姿は見られない。震災で遊び場が減り、集団で遊んだ経験が乏しいためとみられる。

     校長が面談した児童は「自分でもどうして教室を抜け出したりするのか分からない」「頭がざわざわして、教室に座っていたくなくなる」と答えたという。

     この学校では3、4年生の担当教員を増やし、子どもたちの声に耳を傾けようとしている。体を動かしてストレスを発散させ、遊びのルールを学んでもらおうと、スポーツ活動にも熱心だ。

     高学年の体育では組み体操が始まる。基本は相手を信頼して自分の体を預けること。校長は言う。「『自分だけ見てほしい』と思うばかりで他人を信頼できない子が多い。目標は組み体操ができるようにすること」

     沿岸部の別の小学校で、3年生児童が保健室に来た。「学校なんて行きたくない」「みんなの中にいたくない」と繰り返す児童。養護教諭は辛抱強く対応した。

     ある時、児童は気持ちを打ち明け、文章につづった。「いちばんいまでも心にのこってるのが、しんさいのできごと。○○くんがいなくなってさみしい」。震災時に幼稚園の年長だった児童は津波で友達を亡くした。養護教諭も、担任も、スクールカウンセラーも知らなかった。

     今の3年生は震災のあった春、幼稚園などを卒園して小学校に入った。通常は発育や家庭の状況などの申し送りがあるが、震災後の混乱の中、十分ではなかった。1学期初めの家庭訪問も、実施は難しかった。

     「小学生の時に震災に遭った児童たちには、教員たちがそばにいて『学校は大丈夫、安全だよ』と言葉をかけてきた。でも幼稚園や保育園にいた子どもたちが、どんな体験をしたかは分からない。3年生は心のケアの隙間に落ち込んでいるのでは」。養護教諭はため息をついた。

     校舎が被災し、分校に間借りしている岩泉町の小本小学校で9日、「こころのサポート授業」が行われた。

     「突然おきた大変なことがあると、心と体に変化が起こります。でもそれは当然なの」。臨床心理士でスクールカウンセラーを務める永田伊津香さん(30)が4年生たちに語りかけた。

     授業は11年度から全県で行われており、教員らがストレスを受けた時の反応と、対処法を紹介している。

     千葉県出身の永田さんは11年5月と7月、短期カウンセラーとして沿岸部の学校を回った。今年4月からは宮古市に住み、小学校11校を巡回している。

     約2年ぶりのカウンセリングで気付いたのは、震災の話が子どもたちから自然と出るようになったことだ。一方、話したがらない子どもたちもいる。「当時小学校低学年や就学前だった子どもたちは頭で理解していなくても、何か怖いという感覚が体に残っている。今後、どんな影響が出るのか」。永田さんは、子どもたち一人ひとりと向き合う大切さを感じている。

    2013年09月12日 00時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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