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    学びの場で〈中〉

    就学援助が急増 生活苦希望持てぬ子も

    • 学校の保健室は、さまざまな悩みを持った子どもたちの「駆け込み寺」になっている(写真と本文は関係ありません)
      学校の保健室は、さまざまな悩みを持った子どもたちの「駆け込み寺」になっている(写真と本文は関係ありません)

     夏休み明けの沿岸部の小学校。6年生の男児がベテランの養護教諭に話し掛けてきた。

     「先生、歯医者に行ってきたよ」

     「あなた、ジュンヨウの手続きしてたよね。何で申請してこないの」

     「えっ、何? 知らない」

     「ジュンヨウ」とは準要保護のこと。経済的に困窮している世帯の小中学生に、学用品代や給食費、医療費などを市町村が補助する就学援助の対象になることを指す言葉だ。

     国は東日本大震災の被災世帯向けに、通常の就学援助とは別に「被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金」を設けた。自宅が被災したり、保護者が失業したりした世帯の子どもが補助対象で、被災地では就学援助を受けられる子どもが急増した。

     県教育委員会教育企画室によると、12年度に就学援助(学用品費等)を受けた小中学生の割合は、大槌町で50・22%(904人中454人)、陸前高田市で44・25%(1593人中705人)、釜石市で31・93%(2646人中845人)。補助申請の窓口となる市町村教委は保護者向けに案内を配るなどしているが、実際の使われ方が知られていないとみられる。

     例えば、虫歯や中耳炎などの治療費は就学援助の補助対象だが、学校を通して市町村教委に申請し、発行された「医療券」を医療機関の窓口に提出する必要がある。震災から2年半たった今でも、学校現場では、冒頭に紹介したような会話が交わされている。

     「被災地では世帯間の格差がどんどん広がっている。経済的に厳しい世帯への支援がなくなったらどうなってしまうのか。『夢を持ちなさい』と言われても、家計の状況から希望を持てない子どもたちもいるのに」

     就学援助などを通して、子どもたちの家庭を垣間見る機会が増えた養護教諭は、世帯間の格差が子どもたちの暮らしにも影を落としている現状を嘆く。

     勤務先の小学校で昨冬、仮設住宅で暮らす5年生の児童が「荒れた」ことがあった。授業を抜け出し、教科書やノートを破り捨て、いつも刃物を持ち歩いていた。「どうして授業に出ないの」。保健室で尋ねた。

     「父ちゃんと母ちゃんがお金を借りて家を建てようとしている。俺が高校に入ったら金がかかる。俺は高校に行かないで働いて、お金を稼がなければいけないんだ。勉強なんかしたってしょうがないんだ」

     吐き捨てるように言った児童の声は、養護教諭の耳に今もこびりついている。

     就学援助の制度そのものの先行きも不透明だ。

     補助対象世帯の認定基準は、生活保護基準をベースにしているため、今年8月からの生活保護水準の引き下げの影響が、就学援助にも及ぶ可能性がある。

     また、「被災地枠」が設けられるのは14年度までの見込み。文部科学省児童生徒課は「被災地の援助は特例。自治体から15年度以降も継続するよう要望が来ているが、財源をどこから持ってくるのかという問題はある」としている。

    ◇就学援助…小中学生らに学用品費、修学旅行費、給食費など学校に通うための費用を補助する制度。生活保護世帯にあたる「要保護世帯」と、市町村が生活保護に近い困窮状況と認定した世帯を対象にした「準要保護世帯」がある。補助を受ける全国の小中学生は、記録が残る1995年度の77万人から、2011年度には157万人に倍増。震災後に設けられた「被災地枠」の補助額は11年度からの4年間で、総額411億円と見込まれている。

    2013年09月13日 00時48分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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