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    学びの場で〈下〉

    3校、4校…一気に統合 プレハブ校舎薄い壁、7割がバス通学

    • 7月に開設された大槌小学校の図書室(2日、大槌町小鎚で)=小林雄一撮影
      7月に開設された大槌小学校の図書室(2日、大槌町小鎚で)=小林雄一撮影

     夏休み明けに、近くの高校のプールを借りて行われた水泳の授業。自由時間になった途端、子どもたちが二つに分かれた。白い帽子の旧大槌小と、ピンクの帽子の旧大槌北小の児童だ。

     両校と、安渡小、赤浜小の4校は今年4月、新・大槌小として統合されたばかり。「一つになったと頭では分かっていても、気持ちは付いていかないのだろう」。菊池啓子校長(58)は子どもたちを思いやる。

     校舎の被災や震災後の人口流出を受けて沿岸部の学校統廃合が加速している。大槌町内では小学校5校のうち4校が被災した。他校などに間借りしていた4校が同じプレハブ校舎に入ったのは2011年9月。計617人だった児童数は、447人まで減った。震災前に具体的な統合計画は無かったが、「地域からスムーズに了解が得られた」(大槌町教育委員会学務課)ため、今春の統合が実現した。

     狭い校舎に4校が別々に同居していた1年半は、手探りの学校運営が続いた。

     学校の枠を超えて学習グループを作り、「うめ」「もも」などの名前で呼んだ。教員は4校分おり、中心となる教員を「T1(ティーワン)」、サポートする教員を「T2」「T3」と呼び、手厚い態勢で授業を進めた。行事は12年度から合同で開催。4人の校長は分担を決め、入学式、運動会、学習発表会、卒業式のあいさつに立った。

     新校が誕生し、5月には震災後初の児童会総会を開催。二つあった職員室の一つを転用し、7月には図書室ができた。だが、不便はまだ多い。プレハブ校舎は壁も床も薄い。隣の教室の声が聞こえ、2階で机を動かすと階下では話ができないほどだ。グラウンドと体育館は中学校と共用。児童の7割がバス通学で、片道1時間かかる子もいる。

     「夢をもって一歩前に」。今年度の大槌小のスローガンだ。菊池校長は「震災後、子どもたちはたくさんの支援を受けてきた。何かに挑戦する姿を見せることで、町の人に感謝と元気を届けたい」と話している。

     学習環境を改善しようと、学校統合を積極的に進めたケースもある。陸前高田市の広田、小友、米崎の3中学校が集まり、今年4月に誕生した高田東中学校だ。

     広田、小友両中は校舎が津波をかぶり全壊。米崎中も地震で一部損壊し、それぞれ近くの小学校に間借りして授業を再開した。教室は小学校の理科室や音楽室などを転用。美術や技術など専門科目を教える教員も足りなかった。広田中のPTA会長だった菅野敏さん(52)は「保護者から『受験に向けて(被災していない)内陸の学校と差が出てしまう』と心配の声が上がっていた」と振り返る。

     PTAが中心となり11年夏、震災前から進んでいた小友、米崎両中の統合計画に広田中も合流するかどうかを尋ねるアンケートを地域で実施。中学生以下の子どもを持つ世帯の約85%が統合に賛成した。

     住民合意を得て、3校のPTAらは12年2月に統合協議会を設立。生徒や卒業生、保護者らを対象にアンケートを行った。女子の制服は15案の中から最も人気だったデザインを採用。校名もアンケートで決めた。

     高田東中は現在、旧米崎中の校舎を使っているが、16年4月に高台の新校舎に移る予定だ。2人の娘を通わせる市職員の千葉達さん(45)は「学校は地域の活気の源。統合で教育の幅が広がり、娘たちは『新しい友達ができた』と喜んでいる」と前向きに捉えている。

     

    ◇沿岸部の学校統廃合…沿岸12市町村の小中学校数(分校含む)は2011年3月の182校(小学校122、中学校60)から、今年4月には160校(小学校107、中学校53)まで減った。少子化を受けて統廃合は今後も続く見通し。宮古市では来年4月、鵜磯(ういそ)小と千鶏(ちけい)小が重茂小に統合される。川井地区、新里地区でも小学校の統合が計画されている。

    2013年09月14日 00時53分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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