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    被災「くじら館」が復旧

    山田 来月15日…一般公開を再開

    • マッコウクジラの模型が出迎える館内
      マッコウクジラの模型が出迎える館内

     東日本大震災の津波被害を受けた山田町船越の「鯨と海の科学館」が来月15日、6年4か月ぶりに一般公開を再開する。津波で収蔵資料の大半が流され、世界最大級のマッコウクジラの骨格標本も泥まみれになったが、復旧を終えた。16日は、報道機関向けに館内が公開された。

     同町では、1949年に捕鯨基地ができ、商業捕鯨が禁止される88年まで捕鯨が行われていた。その歴史や文化を後世に伝えるため同館が92年に開館し、「くじら館」として親しまれてきた。

     震災の津波で建物は高さ約8メートルまで浸水。漁具や標本など約8万5000点の収蔵資料の大半が流され、救出できたのは約1万5000点だった。2012年度から9億2000万円かけ、損壊した設備の復旧や資料の修復が行われた。

     天井からつるされているマッコウクジラの骨格標本は流失を免れ、ほとんど損傷がなかった。館長の湊敏みなとさとしさん(67)は「震災から9日目に骨格標本があるのを確認した時、これで復旧できると思った」という。

     マッコウクジラは、商業捕鯨が禁止される前年の1987年に釜石市沖で捕獲された。体長17・6メートル、体重60トンで、骨から油分を取り除くため、砂浜に3年ほど埋めて骨格標本を作った。

    資料修復、全国から支援

    • 「見どころはやはりマッコウクジラの標本」と話す湊敏館長(16日、山田町船越で)
      「見どころはやはりマッコウクジラの標本」と話す湊敏館長(16日、山田町船越で)

     津波で骨格標本は泥まみれになったが、大きすぎて施設の外に搬出できないため、天井につるした状態のまま、足場を組んで洗浄作業を行った。他の資料も、全国の大学や博物館の支援を受けて1点ずつさび取りや塩分の除去を行い、全国から駆けつけた800人以上のボランティアが館内のがれきや泥を撤去した。

     新施設の常設展示は、震災前と同規模の約200点。人形を使って漁具の使い方を紹介するなど、以前より分かりやすい展示を心がけたという。10月末までは企画展「鯨―縄文から現代まで―」を開催。人とクジラの歴史を紹介するほか、震災の被災状況や復旧作業などの写真も展示する。

     湊館長は「訪れる人が癒やされ、楽しめる場にしたい。今後、防潮堤ができて海が見えなくなるので、子供たちが海への理解を深める場にしたい」と話した。

     7月15日は午前10時から記念式典を行い、当日は入館無料となる。通常の開館は午前9時~午後5時(火曜日休館)。入館料は震災前より値下げして、大人300円、学生200円、小中学生150円となる。

    2017年06月17日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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