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    東京の居酒屋、漁業参入

    衰退に危機感…尾鷲で来月から

    • 漁業参入の第一歩となる「八咫丸」を披露した五月女社長(左から3人目)ら
      漁業参入の第一歩となる「八咫丸」を披露した五月女社長(左から3人目)ら
    • 鏡開きで「八咫丸」の出航を祝う五月女社長(中央)ら
      鏡開きで「八咫丸」の出航を祝う五月女社長(中央)ら

     尾鷲市の定置網漁に東京の企業が12月から参入する。都内などで居酒屋などを手がける「ゲイト」で、料理に出す魚を提供する漁業の衰退に危機感を感じて参入を決めた。地元も人手不足にあえぐ漁業の活性化につながると歓迎している。9日は町内の神社で海上安全と豊漁を祈願し、住民に漁船がお披露目された。(根岸詠子)

     参入は、同社の五月女圭一社長(45)が、魚の仕入れ値が上がる一方で、品質が低下していると感じたのがきっかけ。昨年7月、知人を頼って熊野市や周辺の魚市場などを視察。後継者不足などで漁業や水産加工業の廃業が相次いでいるのを目の当たりにした。

     特に県内の漁業就業者は2003年に1万2261人だったのが、13年には7791人と3割以上も減少している。「このままでは、近いうちに魚が買えなくなる時が来る」と、自ら漁業を始めることを決意した。

     昨年11月には、廃業寸前だった同市二木島町の水産加工場を買い取り、干物やタイ飯の生産を始め、自社の居酒屋で提供を始めた。同時に定置網漁の準備も進め、今年9月、尾鷲市須賀利町の漁場での操業を認められた。漁船は、廃業した志摩市の定置網漁船を買い取り、「八咫やた丸」と命名。定置網漁の経験を持つ男性4人も乗組員として雇用した。

     9日のお披露目では、約50枚の大漁旗を掲げた八咫丸が湾内を航行し、住民約200人が門出を祝った。須賀利町を管轄する三重外湾漁協紀州支所の三鬼晃常務理事(76)は「漁業はどこも後継者不足が悩み。県外からの企業を受け入れることは、漁業存続のための第一歩だ」と歓迎した。

     取れた魚は尾鷲市の尾鷲魚市場に水揚げする予定で、将来的には自社の居酒屋で提供することを目指す。五月女社長は「今までのやり方では漁業の衰退に歯止めがかからない」と、乗組員には自社で借り上げた住宅を提供し、自家用車やスマートフォンを貸与するなどの待遇を整え、人材を確保した。技術や知識の向上のための研修にも力を入れ、さらに乗組員を募集するほか、ゆくゆくは船も増やしたい考えだ。

     12月中に操業を開始する予定で、五月女社長は「地域の協力も得ながら実績を積んでいきたい。取引先の関係者を招待し、多くの人に漁業の現場を見てもらえる場にもしたい」と意気込んでいる。

    2017年11月14日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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