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    十津川「絆の酒」 人気

    • 十津川村の米や里芋を使った純米酒と焼酎(十津川村で)
      十津川村の米や里芋を使った純米酒と焼酎(十津川村で)

     ◇酒米ブレンド まろやか コクある辛口

     酒蔵がない十津川村で、<地酒>の誕生が相次いでいる。村で収穫された酒米や里芋を使い、村ゆかりの北海道・新十津川町などの酒蔵で仕込んでもらった純米酒と焼酎の計3種類。村内の酒店や温泉旅館などで販売され、「十津川ブランド」の土産物などとして人気を集めている。(熱田純一)

     ◇先人移住 北海道仕込み

     新十津川町の老舗酒造会社「金滴きんてき酒造」が今春、初めて出荷した「さとの心」は、両町村の酒米をブレンドして仕込んだものだ。

     同町は1889年(明治22年)8月に紀伊半島を襲った台風で壊滅的な被害を受けた村から、約2600人が北海道へ移住してできた。町は「母村ぼそん」と呼び、交流を続けている。

     金滴酒造は1906年(明治39年)創業。厳しい自然に耐えて開拓に専念するため、移住当初の10年間は酒を断ったと伝えられているという。昨年、創業110年を記念して、両町村の「絆の酒」を造ろうという話が持ち上がった。

     村では村青年団が中心となって酒米「山田錦」を改良した「吟のさと」を、町では北海道の代表的な酒米「吟風ぎんぷう」を栽培。吟のさと29%、吟風71%の割合で、720ミリ・リットル瓶約2000本分の純米酒を仕上げた。

     うち1000本近くは両町村で売れたという。金滴酒造の名取重和・営業部長(57)は「質が異なる酒米をブレンドしたので仕込みに苦労したが、お互いの良さがうまく相まって、まろやかでコクのある辛口の酒に仕上がった」と満足げだ。

     2年目を迎えたのが、同村谷瀬地区の「谷瀬のつり橋」近くの農家4軒が収穫した吟のさとを、吉野町の蔵元「美吉野醸造」で仕上げた純米酒「谷瀬」だ。酒米を育てる北谷忠弘さん(78)は「昨年より香りやうまみが深い、ワンランク上の酒になった。今後はさらに栽培面積を増やしていきたい」と話す。

     焼酎「いものかぶ」も2年目。同村西川地区のお年寄りらが育て、お節料理などの縁起物に使われる特産の里芋「がしら」約400キロを原料に、岡山県津山市の酒造会社「多胡本家酒造場」で造った。携わった元村職員、東武さん(61)は「フルーティーな味わい。ロックやお湯割りで楽しんでほしい」と出来栄えに自信を見せる。

     3種類とも村内の酒店や十津川温泉「ホテル昴」などで販売され、売れ行きは好調という。「谷瀬」は一升瓶、720ミリ・リットル瓶、300ミリ・リットル瓶の3種類あり、「郷の心」と「いものかぶ」は720ミリ・リットル瓶のみ。

    2017年05月19日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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