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    <正倉院展>銀提子 あえて鍋の形?

    • 重量感あふれる変わり種の宝物「銀提子」=尾賀聡撮影
      重量感あふれる変わり種の宝物「銀提子」=尾賀聡撮影

     ◇別の宝物代わりに奉納か

     奈良国立博物館(奈良市)で13日まで開催中の「第69回正倉院展」(主催・奈良国立博物館、特別協力・読売新聞社)には、一風変わった宝物も並ぶ。その筆頭格が銀の手鍋形の容器「銀提子ぎんのていし」。平安時代に正倉院の別の宝物を取り出す際、代わりに納められた可能性があるという変わり種だ。

     直径50センチほど、重さは5キロを超える。どっしりとした存在感にまず目を奪われるが、持ち手を取り付ける金具には繊細な透かし彫りが施されている。同様の細工は平安時代の刀装具にみられ、銀提子もこの時代の製造と考えられている。

     東大寺(奈良市)の寺誌「東大寺要録」には、1079年に勅封蔵(正倉院)から香料「麝香じゃこう五両」を出した代わりに、「銀提一口」を入れたという記述がある。同博物館の田澤梓研究員によると、年代や素材などからみて、銀提子が奉納された経緯を示している可能性が高いという。

     銀の純度は不明で、実際に鍋として使われたかどうかも分かっていない。田澤研究員は「鍛造と彫金、どちらの技術も非常に高く、単に素材が銀であること以上に、工芸品としての価値がある」と指摘。「銀塊をそのまま奉納するのではなく、あえて鍋の形にして納めたのではないか」と考察している。

    2017年11月11日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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